寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ介護事業所におけるマネジメント①
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こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。
本日は、介護事業所におけるマネジメントについて取り上げたいと思います。
介護保険における指定事業所には様々な職種がありますが、すべての事業に共通して配置が義務付けられている職種があります。
それは「管理者」です。管理者を設置しないサービスは存在しません。
ところで、各法人では管理者を、どのような基準で配置しているのでしょうか。
正直言って、明確な基準に従って管理者を配置できている法人は、それほど多くないのではないでしょうか。
厳密に言うならば、労務上の基準(例えばキャリアパスとか人事評価制度等)があっても、実際はその通りにはなっていないということかと思います。
人材不足なので、なかなか適材適所にハマらない。法人によっては、毎年新規事業所の開設を進めるところも多いので、どうしても人材不足となってしまい、結局内部昇格や付け焼刃のようにして管理者を配置しているケースが多いように思います。
介護事業所における管理者の仕事は、非常に多岐にわたります。
名目上は「事業運営を一元的に管理する」となっておりますが、とてもその一言で集約できません。
介護事業所の管理者に求められている職務は、大きく分けて3つあると考えます。
それは、①コンプライアンスの遵守②人事・組織のマネジメント③収支のマネジメント です。
①については、主として介護保険諸法令に基づいて運営することに、管理者は責任が課せられています。
新規指定の際、管理者は看護保険諸法令に基づき運営をすることを「宣誓」させられます。
誓約書がありまして、コンプライアンスに基づき健全に運営することを、管理者になる方は署名・押印をもって宣誓するわけです。
実地指導の際には、法人代表者名で通知がきますが、実際の実地指導の際には管理者が立ち会うのが大大前提です。
介護保険諸法令は、定期的に改正があります。来年度がまさに改正年にあたるわけですが、管理者は常に新しい情報をキャッチアップし、それを全スタッフに周知させるとともに、諸法令を遵守した運営を管理する必要があります。
遵守すべき内容は、介護保険諸法令に留まりません。
ある程度大きな法人であれば、人事労務的な業務は本部機能が担っているケースもたくさんあります。
しかしそうはいっても、管理者が全く労務についてわからないというわけにはいきません。
当然ながら、労働法的な知識も少しは知っていないといけません。
②について、これは世の中にあるすべての企業や事業所にあてはまりますが、人事・組織マネジメントです。
もっとも、介護事業所の管理者の中で、人事の全権を握っている方は多くないと思います。
あるとしたら、小規模な事業所で代表取締役等が管理者をしている場合くらいでしょう。
求職者の面接はするでしょうが、採用の可否まで決定できる管理者は、それほど多くないのではないかと思います。あるいは、介護職員は管理者で採用可否を決められるが、相談員やケアマネといった重職については本部決裁というところもあるでしょう。
ちなみに、私が昔勤務していた法人では、管理者とケアマネ職だけは社長面接がありました。それ以外の職種については、事業所管理者が決裁することができていました。
採用の可否だけではなく、採用後の人事・組織マネジメントが非常に大変です。
もちろん、どの業種のマネジャー職も同様なのですが、ただでさえ離職率が高く人材不足が著しいこの業界で、人事組織のマネジメントをするのは容易ではありません。
しかも、介護事業には「人員基準」というものがあり、これを厳格に守らないといけないのです。
上記①に相当する業務ではありますが、管理者はこれに紐づけて管理しないといけないわけです。
③についてですが、事業所の管理者である以上、事業所の収支に無頓着というわけにはいきません。
当然、収支に関する責任が問われます。
もっとも収支といっても、あくまで事業所の「管理可能コスト」に関する責任であって、本社がすべき「管理不能コスト」については基本的に対象となりません。例えば、事務所家賃や減価償却費といったコストは、基本的に事業所の管理者が管理すべきものではありません。
実質的に、管理者は売上や稼働率、そして人件費をもって「収支管理」をすることになります。
これだけでも、事業所の管理者は大変な職責を担っていることがお分かりいただけるかと思います。
しかし、現実にはこれだけに留まらないのです。
この続きは、次回に持ち越したいと思います。