寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「2020年10月期有効求人倍率」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
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寺崎 芳紀

テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
株式会社アースソリューション 代表取締役
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2020年10月期有効求人倍率

- good

2021-01-10 08:00

こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。


昨年10月期の有効求人倍率ば、1.04倍と、6年振りの低倍率となったとのこと。

コロナ禍で業績不振の企業が増加し、倒産やリストラ等で失業者が増えていますから、こうなってしまうのも致し方ないところです。


これを受け、新卒採用についても抑制へと向かっているようです。

新卒採用は、景気動向指数の中で「先行指標」と呼ばれています。これは、数か月先の景気の動きを示すものであり、先行指標が低いと先々の景気に対して不安感(逆もありますがここでは省略)があるということがわかります。


ちなみに有効求人倍率は「一般指標」と呼ばれ、景気の現状を示すものです。

有効求人倍率が下がっているということは、まさに今の日本の景気を現状を示している(つまり、景気が悪い)ことを意味しているということになります。


ちなみに、新卒採用は、将来に向けての先行投資的な動きになります。中期的計画の中で成長があまり見込めないということであれば、採用抑制をするのはある意味自然なことであります。


もちろん、景気動向指数だけですべてを判断できないでしょうが、少なくとも有効求人倍率と新卒採用の動向を見れば、現在もそして今後(短期的)も景気情勢は暗いものとなる、ということなのであります。


しかし、マイナス面ばかりではありません。

リーマンショックの時もそうですが、世の中の景気が低迷すると、これまでなら採用が難しかった優秀な方が、労働市場に出回りやすくなります。

ですので、今後の成長が期待できる企業の中には、逆に優秀な方を獲得する絶好にチャンスと捉えるケースもあります。



介護業界もそうです。

世の中の景気が悪くなると、介護業界に人材が流出しやすくなります。

介護業界も非常に厳しいですが、一般的には人材不足の業界で、業界としての伸びしろはありますから。

実際に、派遣会社においても一頃と比べ、採用コストが下がったそうです。人材獲得が少しはしやすくなったのですね。

まさに、コロナ禍の世相を反映していると言っても、過言ではありません。


もっとも、介護事業の場合には、もともと深刻な問題があります。

それは何といっても、待遇面です。

もともとの給与が低く抑えられていて、業務も大変でストレスも溜まる。人気があるかというと、残念ながらそうではない。


これは、介護業界(介護保険制度)の構造上の問題でもあるため、なかなか一事業所で何とか出来る問題でもありません。


しかしそれでも、介護事業者におかれましては、深刻な人材難を打開するための好機と捉えていただきたいのです。


残念ながら、給与面において短期的に爆上げすることは難しい。

報酬改定も控えておりますし、サービス事業によっては改定の影響をモロに受けてしまいかねません。


ですが、売上を最大限上げていくことで、少しは改善できるかもしれません。

介護職員処遇改善加算も、もう算定しないという選択はあり得ません。

最低でも加算Ⅰ、そして特定処遇改善加算も算定する。こうして、介護職員に可能な限り待遇を手厚くしていただくことが絶対的に必要です。


その他の加算も、可能な限り算定する。体制を整えることができるのなら、努力して新たな加算を算定する。

こういう努力を怠ってしまうと、人材難にずっと苦しめられてしまいます。



さらに、スタッフへの教育研修とメンタル対策。

もう、このコラムでも再三にわたって述べさせていただいておりますが、この分野について本気で力を入れるべき時が来たのでないでしょうか(もう、とっくに来ているはずなのですが 笑)。


「研修したって意味がない」「どうせすぐに辞めてしまうから」という理由は、もう通用しなくなると思うのです。


先ほども申し上げた通り、介護報酬改定の動向や今後の制度の方向性については、正直明るい材料は多くありません。SWOT分析をするならば、まさに「脅威」です。


しかし、国も完全にこの制度を消滅させたいとは、当然ですが微塵も考えていません。むしろ、絶対になくてはならない貴重な存在です。


国の施策や政治そのものへの不信もあり、政治家や官僚は大いに反省していただきたい。

でも、そんなことを嘆いていても仕方がない。


今後も介護事業を継続しようと考えるならば、景気への不安感や制度の方向性という「脅威」を「機会」と捉えることができるか。それは、経営者の意識がどうであるかに大きく関わっていくと思います。




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