寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「訪問看護の運営基準見直し議論」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
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寺崎 芳紀

テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
株式会社アースソリューション 代表取締役
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訪問看護の運営基準見直し議論

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2020-11-27 08:00

こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


訪問看護ステーションの運営基準が、大きく見直されようとしております。

一番問題になっているのが、訪問看護におけるリハビリサービスの提供についてです。


訪問看護ステーションと謳っておきながら、実際は訪問看護よりもリハビリがメインになっている現状を、厚生労働省は前々から問題視しておりました。


それを受けて、前回改定では、看護師によるサービスもリハビリサービスも同一報酬だったものを、リハビリについては減額しました。しかも、リハビリ職が行うサービスについても、看護師が計画作成にかかわるとともに、ご利用者様に説明・同意を得て、さらに3ヶ月ごとのモニタリングを看護師に課すこととなりました。


前回改定により、リハビリサービスをやめる事業者が増えました。事業所によっては、撤退をしたところもあった位です。


類似したサービスとして、訪問リハビリテーションがあります。

訪問看護サービス(リハビリも含む)の実施には、医師の指示が必要なのですが、訪問リハビリについてはそれのほかに、当該ご利用者様が配置医師による定期的な診察を受けることが算定要件になっており、これが結構な難題となっております。


リハビリを受けるためだけのために、配置医師による診察を受ける必要があるわけです。

配置医師は、かかりつけ医であるとは限りません。「かかりつけ医=配置医師」であれば話は早いのですが、多くの場合そうではないようです。


中には、訪問診療も行っているクリニック等もありますので、そこに併設された訪問リハビリテーション事業所であれば、「かかりつけ医=配置医師」となるので、一体的にカバーできます。

しかし、そうでないケースが多いため、訪問リハビリテーションの配置医師とかかりつけ医との連携が十分図れているとは言い難いものがあります。


かたや、訪問看護(リハビリサービス含む)については、医師の指示があれば足ります。

ですので、訪問リハビリよりもハードルが低いわけです。

ただでさえ、訪問リハビリテーション自体の数は少ないので、正直言って訪問看護でリハビリをする方が手間が少ないということなのです。


ところが、ここを厚労省は問題にしているのです。

早い話が「訪問看護は看護師によるサービスをするものであって、リハビリ事業所ではない。リハビリをするのであれば、訪問リハビリテーションや通所リハ等があるではないか」ということです。


今回の報酬改定議論において、訪問看護の運営基準を厳格にしようとしています。


検討されている内容として、


・看護師の配置を、サービス従業者全体の6割以上とする

・リハビリ職によるサービスに、提供回数の制限を設ける

・リハビリ職によるサービスの基本報酬を適正化する(要は、減らす)


ということが挙げられます。

事実上の「訪問看護ステーションにおけるリハビリサービスの締め出し」と言っても過言ではありませんね。


上記の実施には、経過措置期間を設けることになりそうです。

経過措置期間終了までに基準が満たされないと、廃止することになるようです。


そうなれば、医療機関等でもリハビリ職の配置見直しを余儀なくされる、ということになります。

セラピストの方々からしてみたら、まさに戦々恐々という状況となります。


私の考えはこうです。


① 訪問看護ステーションを標榜する以上、看護師によるサービスが本分であること。

② 訪問看護サービスは、24時間のサービス提供が基本であること。人員の問題もあって大変であることは重々理解するが、それが時代の要請であること。

③ ①と②の前提で、看護師と連携した上でのリハビリサービスは重要で、必要なサービスであること。看護師はリハビリ職よりも上位ということはなく、同じ専門職として対等な立場であり、そこに主従関係など存在しない。ご利用者様の満足度を高める目的においては、両者とも同じ位重要であること。


であります。


中には、看護師は最低限の配置だけして、実態はリハビリ職しかいないという事業所もたくさんあります。看護サービスはほとんど行わず、当然ながら24時間の緊急対応も行わないという訪看も、たくさんあります。


確かに、実質リハビリしか行わない訪問看護ステーションは、いかがなものかと思います。

ですので、ある程度厳しくするのは仕方がないでしょう。


しかし、訪問看護ステーションにおいてリハビリはいらない、というような風潮になってしまうのは反対です。


先にも触れたように、訪問リハビリテーション事業所自体が少なく、使い勝手があまりよくない。

整形外科に通った方がむしろ社会保障費が高くつく(もちろん治療であれば話は別)。

通所できない事情を抱える方もたくさんいて、リハビリ職の訪問によるサービス提供によって、何とか在宅生活が継続できているケースもある。


これを蔑ろにして、一律に訪問看護からリハビリサービスを排除する動きにはならないでほしい。

リハビリは介護医療において絶対に欠かせない、重要なものであるのですから。


また、医師にも言いたいのですが、指示書の内容が薄すぎるケースも多いのが実情です。

露骨に面倒がる医師もいて、がっかりさせられます。別に無報酬であるわけではないのだから、快く買いいてほしいですし、医師でない私でも書けるような稚拙な内容の指示書をよこされると、品位すら疑ってしまいます。


「医師の指示のもと」というのなら、医師にもしっかりリハビリ面について向き合っていただき、本当にい適切な関わりを持っていただきたい。あまりに内容の薄い指示書を提示されて、それをもって連携できていると思われても困るのです。








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