寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「「やりがい」搾取 ~ケアマネタイムスより~」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
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寺崎 芳紀

テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
株式会社アースソリューション 代表取締役
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「やりがい」搾取 ~ケアマネタイムスより~

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2020-10-16 08:00

こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


ケアマネタイムスという、主としてケアマネさんを対象としたポータルサイトがあり、読ませていただいているのですが、そのサイトに非常に考えさせられる記事が掲載されておりましたので、ここでご紹介できればと思います。


去る9月30日に行われた社会保障審議会 介護給付費分科会において、厚生労働省は「介護職員の処遇改善」について俎上に載せ、出席委員から様々意見が寄せられたそうです。


「介護人材が不足している」「介護職員の給与一般業種に比べて安すぎる」という問題は、もはや介護関係者でない方でもご存知の事項で、あまりに当たり前過ぎるわけでありますが、現状業務に従事されている数十万人の介護職員が、どういう思いで仕事をされているかについて紹介されていました。


なぜ、介護の仕事をしているのか。

理由は様々でありますが、その中でも多く聞かれるのは「やりがいがあるから」という答え。


確かに、大変やりがいのある仕事であります。私も現場におりましたし、現在もこの業界に身を置いていますが、これは間違いなく言えると思います。


しかし、出席委員の中から、以下のように警鐘を鳴らすコメントがあったのです。

「介護従業者の『やりがい』を、事業者(私は敢えて、厚生労働省も含めたい)が搾取するようなことがあっては、断じてならない」と。


私は、言い得て妙であると率直に思いました。


介護事業を行う会社のコーポレートメッセージでも、「利用者からの『ありがとう』を集めたい」「介護の仕事ほど、人から感謝される仕事はない」と銘打って、あたかも介護従業者の善意をかき立てるような言葉を発信するケースがあります。


確かに、その通りだと思います。

多くの介護職員の方々が、そういう部分にやりがいをもって仕事をなさっている。これは事実です。


しかし、本当にそれが本音なのでしょうか?

事業者も、あるいは国も、そういう介護従業者様の善意を、いいように利用してはいないだろうか?


そこまでは言い過ぎとしても、法人の中には福祉の理念を盾にとり、劣悪な環境下で介護の仕事に従事さえているところも、実際にはあります。

まるで、福祉の理念をスタッフさんに洗脳させているかのように・・・言い過ぎでしょうか。


しかし、介護給付費分科会でこのような意見が出るというのは、決して言い過ぎでも何でもなく実在しているのだということを、今一度国も(もちろん介護事業所も)認識していただかなくては困る、ということです。


もっとも、官僚の皆さんにそれを求めても、介護現場の実情について真剣に受け止めてくれるとは正直考えにくい。

このサイトでも書き込みがありましたが、公務員には研修として、一律に介護職員初任者研修を受けていいただき、一定期間現場に入っていただいて、身に染みて実感していただかないとダメかもしれませんね。


「他人事」だから、真剣に向き合わないように思えるのです。


介護職員の多くは、純粋にこの仕事が好きであり、まさにやりがいを持ってお仕事をされています。

そういう方々の気持ちを無にするのは、あまりにひどすぎます。


聖人君主の考えだけでこの仕事ができるほど、皆さん余裕はありません。

もちろん、将来の介護サービスの質と量を担保する上では、もっと余裕がありません。

下手をすれば、破綻するかもしれない状況に追い込まれています。


現在働く介護職員も、仕事のモチベーションの多くを「やりがい」に求めることは大変素晴らしいことですが、どうか介護職として(社会人として)のスキルをもっと上げていただきたい。


介護の仕事は、正直申し上げて「職に困っても介護がある」という、まさに就職のセーフティネットのような状況です。

完全になめられている状況です。


この状況を何とかしたい。

これを打破しないと業界のイメージは上がらないと思います。


にもかかわらず、従業者を本当に搾取する事業者が存在するのだから、たまらない。


最終的に介護報酬の額や、処遇改善策を講じるのは政府(与党)です。

本気の姿勢を見せてほしいものですね。






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