寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ介護職員が前職を辞める理由
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
9月30日(水)に、第186回介護給付費分科会が開催されました。
私はその日所用もあり、オンラインでの会議を聴講することができなかったのですが、すぐに資料が公開されておりました。
まだしっかりは読めていないのですが、今回は「介護人材の確保と介護現場の革新」「制度の安定性・持続可能性の確保」というテーマで、3時間にわたり議論していたようです。
資料の中で私が気になったことの中に、「介護職員が前職を辞めた理由」に関する調査結果が載っていました。
まあ、ご経験のある方も多いと思いますが、理由として多い順に「職場の人間関係に問題があった」「法人や事業所の理念や考え方に不満あり」「自分の将来の見込みが立たなかった」という項目が上位に入っておりました。
もちろん、「収入が低い」といった待遇面や、「結婚・出産・育児等で」という個人的な事情でお辞めになる方も多いですが、上記3点の理由は、基本的にずっと変わっていないのではないでしょうか。
上記離職理由に共通されるのが、介護という業界が制度的にも業務的にも厳しい状況に置かれている、ということかと思います。
「法人や事業所の理念に不満がある」というのも、確かに介護事業を食い物のように考えて搾取をする事業所もあり、こんな法人は問題外です。
ただ、何とかしてよくしたいと思っても、人員不足が慢性化しいてしまい、ついついスタッフさんに無理を強いてしまう。結果、「こんな体制の法人ではやっていけない」といって、スタッフが辞めていく・・・ 想像に難くありません。
介護保険制度20年が経過して、介護業界はいろいろ変わりました。
にもかかわらず、介護職の離職理由はほぼ(全く)変わっていないということです。
そして国は、当然これを問題視し、いろいろ施策を講じているわけですが、なかなか特効薬とはならない。
恐らく、今のままでは当分の間この問題は解決せず、懸案事項のままで先送りになると思われます。
基本的に分科会の委員は、この問題を何とかして方向付けるために、真剣に考え取り組もうという意思があり、私にはそう伝わってきます。
しかし、どうしても社会保障費との兼ね合いがあり、財務省とのバトルが毎々繰り広げられます。
今回、厚生労働省は令和3年度概算要求基準が過去最大規模となったと、ニュースでも取り上げられています。まあ、これは新型コロナウイルス感染症対策がメインとなりますし、当然といえば当然です。
しかし、かねてからの懸案事項となっていることが、解決できていない。
特に、介護人材不足の問題も、介護保険制度施行後最初の報酬改定の時から言われているのに、20年近く経っても全く前に進まない(私はあえてこう申し上げます)。
国が介護福祉の将来なんかどうでもよい、完全なるダウンサイジングにする、もう何もしない、というなら、筋は通ります。実際には絶対にありえませんが。
しかし、「喫緊に解決すべき重要課題」ととらえているのであれば、国には覚悟をもって取り組んでいただきたい。
制度を持続させるために、介護保険料を上げる、自己負担額を増やす必要が本当にあるのなら、それは最終的に仕方がないこと。そうしないと制度が破綻するというなら、仕方がない。
しかし、まだまだ改革の余地があるのに、それを派閥の論理とかしがらみとかが邪魔をし、この難題解決が一向に進まないというなら、改革をする気がないとしか考えられません。
そうでないというのなら、覚悟を見せてほしい。
その上で、国民に負担をお願いするというなら、受け入れるしかないのですから・・・
非常に重い話になってしまいましたね。
しかし、これは本心であり、本気で取り組まなくては介護業界は破綻しかねません。