寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ介護士として
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
今に始まった話ではありませんが、介護職員の虐待案件が減るどころか、増える一方に感じます。
老人ホームで、入所者様に暴行してけがをさせる、預金口座からお金を引き出すという窃盗行為、その他ご利用者様への暴言、暴力・・・
ほとんどの場合、逮捕されて取り調べを受ける中で「激務に耐えられず、衝動的にやった」「忙しすぎてイライラしていた」「いうことを聞かないのでやった」という供述が出てきます。
被害に遭うのは、多くの場合認知症の方になるわけですが、「いうことを聞かない」って発言、そりゃ認知症の方なのだから理解しろと言っても難しいんじゃないの・・・と思ってしまうのですが。
以前もこの内容については、本コラムでも取り上げたことがあります。
その時にも書きましたが、事件を起こしてしまった方を適正に処罰し反省を促すのは当然として、それだけでは片付けられない複雑な問題がはらみます。
人員不足がある程度解消されないと、問題は減るどころか増える一方。
介護職として働く方も、もう少し勉強が必要。意識の足りない方が多いのは現実。
そして、介護職という仕事が皆に憧れられ、誇りをもって仕事ができる状況にならないといけない。こんな大変な仕事を、薄給ではとてもやっていられない。
ということを、私は言いたいです。
どんなに忙しかろうと何だろうと、暴力を奮ったり人のお金を盗んだりする行為が、許されるはずがない。その方がどんなに正当性を訴えても、「忙しい」「イライラしていた」という理由で免罪はされない。
しかし、そういう虐待(犯罪)を生む温床が、現場には存在しうるのも事実です。
それを取り除くことを、事業者が行っていかないとどうにもなりません。
コロナ禍で、皆さんストレスが溜まっていることでしょう。
メンタル的な対応を、いかに事業者が従業員に対して施して差し上げられるか、そしてそういう意識を事業者が持てるかが、私は問われているのではないかと思います。
もっと言ってしまえば、従業者のメンタルケアが十分にできない、あるいはまったくできない事業は、今後永続的に事業を継続することはできなくなるでしょう。
わが子に、「介護士はとても尊く素晴らしい仕事だ」と、胸を張って説明できるか。
わが子が、「将来は介護士になりたい」と言ってきたとき、応援してあげられるか。「そんな仕事じゃ食っていけないからお止めなさい」という話になってしまわないか。
介護という仕事に、相当ネガティブなイメージを持っていないか。
結局は、そこになると思うのです。
親が自分の子どもに「介護士になるのだけはやめろ」と言ってしまうような状況にだけは、何とかして回避したい。
虐待を起こしてしまった人は、被害に遭われた方に対して反省するおは当然のこと、自らの行為で介護士のイメージを汚してしまったことを、本当に反省しなければならない。
そういう環境を作ってしまった事業者にも、検証・反省・再発防止に努め、従業者のメンタルケアにも努めなければならない。
そして国も、介護職の待遇改善に全力を挙げて取り組んでほしい。