寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ介護報酬のプラス改定への懸念
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
9月3日に、第184回介護給付費分科会が開催されました。
審議の中で、大変気になることがありましたので、取り上げさせていただきたいと思います。
今回の新型コロナウイルス感染症で、介護事業所においても多大な影響を受けました。
医療機関や介護事業所において、感染・重度化リスクの高い方を守るべく、必死になって対応されてきています。それを重く受け止め報いるため、このたび介護(医療)慰労金を用意した経緯があります。
有識者の中には、今回の対応を単発ではなく、恒久的に措置を講じる(報酬に組み込む等)必要があるのではないかという意見がかなり出ております。
ただ、コロナに関する緊急経済対策で、国の財政は非常に厳しいものになっているのも事実です。
経済界の関係者の中には、介護報酬自体を引き上げることに難色を示す方も存在します。
財務省もそうですが、やはり社会保障費の増大を懸念し異論を唱える方は一定数いますね。
それは仕方がない(ある意味当然)だと思います。
しかし、今回のコロナ対策とは関係なく、介護業界は慢性的な人材不足により供給が厳しく、このままでは経済にも影響が及ぶ(介護離職の増大等)という話があったわけです。
それはどこへ行ってしまったのでしょうか。
確かに、コロナの影響で経済が大ダメージになってしまったのは当然理解できますし、何とかしなければならないことです。
介護事業所の中には、コンプライアンス上の問題を抱えているところや、人材を粗末に扱う事業所、ボンブリ勘定で行うところもあります。
それは、絶対に正していき、適正な運営をしていただくては困るわけです。そういうわけで、介護保険制度の適正化には大賛成です。
コロナで厳しい状況に追い込まれているのは、介護だけではありません。
飲食店やサービス業は、本当に苦しい状況に追い込まれ、倒産や廃業に追い込まれているところが続出しています。そういう業界の方々から言わせれば、「介護業界だけ特別扱いする」ことに懸念するのは、当然の話です。
ただ、そもそも介護報酬(とりわけ介護職の処遇を改善する)ことについては、コロナ禍以前からの大きな大きな問題であり、依然として改善されていません。
そこへきて、コロナ禍に陥り、事業所では感染症対策へのかかり増し経費が増大し、今般の緊急包括支援事業へのつながったわけであります。
ですので、経済界の方々がおっしゃることは重々理解できるのですが、従来の難問が解決できずに継続されていることをご理解いただき、どうかコロナとは切り離して(完全には切り離せない話ですが)適正な報酬体系を作っていただきたい。
たとえワクチンが整備され、コロナがインフルエンザと同じような対応でしのげるようになって落ち着いたとしても、即座に介護業界の人材不足は改善させるわけではありません。
ですので、そのあたりを踏まえていただき、介護報酬の設計を考えていただきたい。
今後、毎週のように分科会は行われると思いますので、注意深く見守り、情報のトレンドをつかんでいきたいと思います。