寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「居宅介護支援事業の現状①~第182回介護給付費分科会資料より」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
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寺崎 芳紀

テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
株式会社アースソリューション 代表取締役
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居宅介護支援事業の現状①~第182回介護給付費分科会資料より

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2020-08-22 08:00

こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


8月19日に、第182回介護給付費分科会が行われました。今回もオンライン開催でした。

今回は、訪問介護・看護、訪問リハビリ、居宅療養管理指導と居宅介護支援が俎上に載せられましたが、今回は「居宅介護支援」に焦点を当て、2回にわたり書かせていただきます。


居宅介護支援については、本コラムでも再三にわたり取り上げております。

それは、今後の介護報酬改定に向け、ある意味一番重要なポイントとなり得ると考えるからです。


介護支援専門員が作成するケアプランは、要介護者(支援者)に対する肝の部分となります。

非常に重要な位置づけをされているわけです。


それだけに、介護支援専門員に求められる資質や業務は多岐にわたります。

他方において、現場では非常に難しい状況に立たされているようにも感じます。


居宅介護支援サービスの利用状況は増加傾向にあり、令和元年度の利用者数は約336万人だったそうです。

請求事業所数も約45,000事業所あり、平成18年の1.5倍となっております。

いかにニーズが高いかが、これでわかると思います。介護保険サービスを利用する際にまず手当てすべきなのは「ケアマネさんを探すこと」ですので、高齢者が増え続けている昨今では、ある意味当然のことでしょう。


しかし、最も危惧しなければならないのは、介護支援専門員の養成や稼働についてです。

利用者様も増え、事業所も増えているのに、稼働しているケアマネさんは減っているのです。


毎年10月に行われる介護支援専門員実務研修受講試験、令和元年度の合格者数は約8千人でした。

ここ数年、試験の難易度が高まっていることから、合格者数は激減しております。昨年度は少し盛り返しましたが、それでも少ないのが現状です。10年前までは、平均2~3万人は合格していたのですから、近年の合格者の少なさは驚きです。


ケアマネとして従事する方の数は、増えているようです。

令和元年度では、ケアマネ従事者が約10万人、平成21年では約8万人程度とのことですので、2割位増えております。

前述の通り、事業者数(請求ベース)は平成18年から1.5倍増えておりますので、ケアマネ数が増えるのは当然でしょう。


それなのに、1事業所あたりのケアマネ数が減っているのです。

令和元年7月度の調査によると、1事業所当たりのケアマネ数は常勤換算で2.7人。これは、平成21年と同水準になります。

平成21年と令和元年とを比較し、実働ケアマネ数が2割増えているのに、1事業所当たりのケアマネ数が変わらないというのは、何を意味するのでしょうか。


それは何と言っても、実働するケアマネが足りていないということにほかなりません。

利用者数が増えているのに、それに付随してケアマネ増えていっていないということなのです。


常勤換算で2.7人が平均ということは、理論上半数の事業所が特定事業所加算を算定できないということになります。


分科会の出席委員の中に、「居宅介護支援のみがサービス事業の中で唯一赤字になっている」「利益を上げるには、特定事業所加算を算定しないとほぼ不可能だ」と話されていた方がいらっしゃいました。

そんなこと、前々から言われていることだよ!と思いますが、おっしゃっていることはその通りだと感じます。


この状況は、何かしら手立てを講じない限り、今後も続いていくことでしょう。というよりも、ケアマネ離れは加速すると思われます。


介護職員(特定)処遇改善加算が拡充され、今や介護職員がケアマネの給与水準を上回っているとまで言われています。夜勤業務がないぶん、負担は多少軽減されるでしょうが、土日夜間に関係なく利用者様(ご家族様)から連絡を受けたりして、負担を感じているケアマネさんは多いのが実情です。


それ以外にも、やるべき仕事が山のようにあり、何とかしなければ破綻しかねません。


居宅介護支援事業所の報酬算定については、次回に持ち越しますが、まずは居宅介護支援事業所の現状についてお伝えいたしました。


次回もお読みいただけますと幸いです。




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