寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ生活機能向上連携加算
-
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
2018年度報酬改定時に大幅に拡充された(?)生活機能向上連携加算について、今回は触れたいと思います。
簡単に申しますと、介護サービス事業者が外部のリハビリ職と連携して、利用者様に対して生活レベル向上に向けリハビリ(機能訓練)を行った場合に加算が算定できる、というものです。
もともとは訪問介護のみ算定が可能でしたが、前回改定で対象サービスが大幅に拡充されました。
リハビリ職を配置するのが困難な事業所でも、専門職の監修のもとでリハビリが提供できるということで、これが創設された際には結構メリットになるな、と私は考えておりました。
しかし、実態調査によると、以上に加算取得率が低い。
特養で6.3%、通所介護で3.4%、訪問介護に至っては0.4%とのこと。
通所介護において、看護職員配置が不要な定員10名以下の事業所では「個別機能訓練加算」が算定できません。こういう事業所であれは、生活機能向上連携加算を上手に算定することで当該通所サービスの質向上に役立てることができると思いましたが、3.4%の取得率は以上に低いです。
※ちなみに、個別機能訓練加算を算定している事業所でも取得可能(100単位/月・人)。算定していない場合は200単位/月・人です。
理由を分析すると、「リハビリ側(訪問リハ、訪問看護ST、老健等)にマンパワーがない」「リハビリ側に報酬を支払う仕組みがない」とのこと。
話が少しそれますが、グループホームにおいては「医療連携体制加算」というものがあって、看護師を配置しなくても地域の訪問看護STさんと連携することによって加算が取得できます。
連携にあたっては、当該訪問看護STの運営法人と契約をし、基本的には当該加算の中から一定割合を分配する形にしているところがほとんどです。
しかし、生活機能向上連携加算の場合はそもそも加算報酬が低いので、厳しいわけです。
例えば10名の通所介護事業所で当該加算を算定した場合は200単位×約10円×10名=約2万円になります。これを財源にして外部のリハビリ職の方に配分しても、報酬はたかが知れております。
関わっていただくからには、担当者会議への出席や計画書の作成(事業所スタッフと連携して)、利用者様への評価等々を行っていただくわけで、わずかな報酬でお願いするには非常に無理があります。
この加算の欠陥は、リハビリ職に報酬上のメリットが基本的にない、という点です。
メリットがないのに、わざわざそんなことをする暇はないよ(マンパワーがないという言葉の裏には、この実態がある)ということです。
厚生労働省は今後、リハビリ職と介護サービス事業所との連携を強化し、ますます地域包括ケアシステムを進めようとしております。
その方向性には大賛成なのですが、それを進めるならば制度上の欠陥は正した方がよい。
今後の報酬改定に向けての議論が、非常に興味深いです。