寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ通所介護・通所リハの事業所規模
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
今回は、通所介護及び通所リハビリテーションにおける「事業所規模」について取り上げます。
通所系サービスは、毎年度事業所規模の届け出をすることになっております。
この「事業所規模」というのは、月の利用者数が延べで何人いるのかによって振り分けられるものです。具体的には「通常規模(~750人/月)」「大規模事業所Ⅰ(751~900人/月)」「大規模事業所Ⅱ(901人以上/月)」の3パターンに分けられます。
これがどういう意味をなすのか。
簡単に申しますと、「月の利用者が多い事業所は、利用者1名あたりの基本報酬を下げますよ」ということです。
通所系サービスは、報酬改定のたびに槍玉にあげられています。
その理由が、通所系サービスは他サービスに比べ経営効率がよいから。すなわち「儲けすぎているから」というのです。
改定前の「介護経営実態調査」において、国の試算よりも利益率の高いとされる事業は、次回の改定で報酬減にさらされてしまう傾向が強いのです。
非常におかしな制度だと、私は前々から思っておりました。
利用者数が多いというのは、それだけお客様や地域から支持を受けているということです。
それを規制するというのは、いくら何でもやりすぎです。
ここ数年で飛躍的に増えたサービスに、「リハビリデイサービス」があります。
午前・午後に分けて、少人数での機能訓練を充実させたサービスです。
リハビリデイの利用者様の多くは、レクリエーションよりも短時間で集中的に行うリハビリを目的にいらっしゃっています。
半日でしっかりリハビリをして、ご自宅で思い思いに生活される。私はとてもよいサービスだと思っています。
しかし、出る杭を打つのが国の方針。
2018年の報酬改定で、厚生労働省は通所系サービスは「大規模化」を求めるようになりました。
その証拠に、国は通所サービスにおいて「小規模事業所」を廃止しました。
これは、スケールメリットの利かない(経営効率があまりよくない)小規模事業所には、基本報酬が通常規模等より高く設定されていたものです。
ところが、前々回の改定でそれが廃止され、「地域密着型通所介護」を新設しました。
地域密着型ですので、基本的に事業所の住所地に暮らす要介護高齢者しか利用できません。
営業エリアが著しく制限されてしまったのです。
さらに追い打ちをかけたのが、サービス提供時間の考え方の変更です。
それまでは2時間枠(例えば5時間以上7時間未満とか、7時間以上9時間未満等)で報酬設定されていたのに、前回改定で1時間枠(5時間以上6時間未満 等)に変更となりました。
改定前の水準を維持するためには、従来よりも1時間位長くサービスを提供しなければならなくなったのです。
まあ、理屈にはかなっている話かもしれません。
しかし、通所系サービスはこの瞬間にはしごを外され、その分人件費を投入しなければならなくなりました。事業所運営に支障をきたすこととなったのは、言うまでもありません。
さらに、それまでは「機能訓練をしないデイサービスはダメ」と声高に叫んでいたのに、今では「レスパイト機能を充実させよ」「利用延長にも柔軟に対応せよ」と言っている・・・
少なくとも、事業所規模の大規模化を求めているのに、事業所規模による基本報酬の調整を図ること(大規模になるほど基本報酬が下がること)は、全くもって理にかなっていません。
もっと声高に叫び、こんな矛盾した仕組みは早急に見直すべきだと思います。