寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリグループホームおける夜勤の人員基準緩和
-
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
今回は、グループホームの夜勤配置について取り上げます。
7月8日に行われた社会保障審議会介護給付費分科会にて、グループホームについて議論されました。
現在1ユニットごとに夜勤1名以上を配置する義務があるのですが、人員不足の深刻さもあり、緩和できないかということです。
私は昔、定員21名の小規模有料老人ホームに勤めておりました。
夜勤配置体制は1名。施設長をしていた私は、現場スタッフから増員を強く求められましたが、収支を考えると非常に厳しいのが現状でした。
スタッフの主張はこうです。
「夜勤1名では、緊急時にとても対応できない」「仮眠が取れない」「災害があったらどうにもならない」等・・・
どれを取ってもその通りです。
ですので、例えば日中に体調がすぐれない方がいれば、早い段階で病院受診をしていただいたりしていました。夜間に急変があると本当に大変ですので、少しでも急変リスクを抱える方がいれば、私はその晩に施設に泊まって対応していました。時には本当に急変し、私が救急車に乗り込むことも多々ありました。
結果的に何事もなければそれでよし。何よりその日の夜勤スタッフに「独りではない。何かあれば助けてくれる」という安心感を与えることはできました。
しかし、毎回毎回それもできない。スタッフは当時どんなに孤独だっただろうか・・・
私が在任中、おかげ様でそれほど深刻な状況に遭遇することはありませんでした。
しかし、常に深刻なトラブルに発展するリスクが伴います。
夜勤を1名増やすだけで、月額軽く30万円以上はかかります。毎日のことですから。
収支バランスだけ見たら、正直言って小規模の施設では捻出するのは困難です。
そういう背景があるせいなのか、今回の分科会では「夜勤+オンコール当直1名」「ICTの導入」を対策として掲げる委員もいらっしゃいました。人材不足が超深刻になっておりますので、そういう意見が出るのは自然ですし、知恵を絞って補っていくことは必要だと思います。
それは、事業所も同じこと。国の指針に文句を言うだけでなく、創意工夫も必要です。
反面・・・
介護スタッフは人間ですので、スタッフの質は人それぞれです。
しかし、いかんせん人材不足なので、施設側も十分なOJTが積めないままに新人を夜勤配置させているケースも、相当あるのではないでしょうか。正直、私もそうでした。
あくまで理屈ですが、スタッフの質や施設環境を無視した場合、夜勤配置を手厚くすることとリスク回避(限りなくゼロにすべきだがゼロにはならない)は、トレードオフの関係にあります。
そのバランスをどう取っていくのかが、非常に難しい問題となります。
私は過去に身をもって経験しております。
限られた少ない人数で夜勤をさせることで、スタッフを不安にさせ、辞めていくのを何度も味わいました。私にできることにも限界があります。ほぼ不休で施設運営してきましたが、そんなことをしても長く続かず、何の解決にもなりません。疲弊して精神病んでつぶれていくだけです。
私は精神こそ病むことはありませんでしたが、あの時は思考回路がおかしかったように回顧します。
ですので、個人的には、夜勤配置を緩和することに賛成はできません。
ここ数年、災害が各地で発生しています。昨年秋、2回も大型台風が日本に押し寄せました。地震もあちこちで発生し、限られた人数でご入居者様を守るのにも限界があります。
これは、グループホームに限ったことではありません。施設系すべてに言えることです。
どうか、そういうところも配慮した上で、人員配置については議論していただきたいものです。