寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ2021年度介護報酬改定の審議②「地域密着型サービス(複合型)」
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
来年度の介護報酬改定に向け、本格審議に入った介護給付費分科会。
委員から意見のあった内容の中から、興味を持った内容についていくつか取り上げております。
今回はその2回目で、「地域密着型サービス」についてです。
地域密着型サービスにもいろいろありますが、今回は(看護)小規模多機能型サービスに絞ります。
2006年度から創設された小規模多機能型サービス。もう15年目に入るのですね。
このサービスは、在宅をベースとして「通い」「訪問」「泊り」をセットでサービス提供をするものです。時間や回数にとらわれることなく、包括的にサービスが提供できますので、とてもよいサービスだと思っています。
例えば夜間にベッドから落ちてしまったので介助してほしいとなった際、通常の訪問介護では時間的な対応も難しいですし、都度費用もかかってしまいますが、小規模多機能型サービスでしたら包括報酬(マルメ)ですので、ご利用者様は費用負担を気にすることなく援助を依頼できます。
これが本当に浸透してくれば、確かに施設に入所しなくてもいろいろ対応できそうです。
小規模多機能型には「看護サービス」が付くものもあります(「看護小規模多機能型居宅介護」といいます)。医療ニーズが高い方は、それだけで在宅限界が低まりますので、看護サービスも同時機能すれば随分変わると思います。
しかし、問題点も多いのが実情です。
小規模多機能型サービスは地域密着型サービスですので、ご利用者様は指定を受けた市区町村でしか集められません。営業する上では、これが結構ネックとなります。
事業所ごとの登録人数にも上限があり、最大29名までとなっております。
それに見合った人員・設備基準を定めておりますので、致し方がない部分もありますが、いろいろ制約がありますと収支を合わせるのは大変です。
また、ご利用者様が小規模多機能型サービスに移行することとなった場合、既存のケアマネさんとの契約がそこで終了することとなる点も、難しい問題です。
ケアマネは、ご利用者様の現状を考えた上で、小規模多機能型への移行が最善と評価され、かつご本人(ご家族)が希望されるならば、いろいろ調整の上で実現させるべきです。
しかし反面、ケアマネは自分の担当件数が減ります。それはイコール収入減少となるわけで、ケアマネによっては小多機への移行を渋る人もいます。
小規模多機能に限らず、在宅系のサービスはケアマネさんからの紹介に依存する部分が大きいため、ケアマネさんから一定の理解が得られないとなかなか紹介には結びつかず、結局小規模多機能サービスの収支が成り立ちにくい状況となります。
さらに、人員不足も深刻です。
なかなか人員を確保しにくい状況下で、管理者や計画作成担当者(ケアマネ)が夜も稼働しているという話は、よくよく聞きます。足りない部分をそういう方々がカバーしているのです。私もそうでしたから、その大変さは身に染みてよくわかります。
理念としては大変すばらしく、国もできるだけこのサービスを推進したい意向です。
基本的に、(看護)小規模多機能型サービスは、日常生活圏域(概ね車で30分で移動できるエリア。中学校区域を想定)ごとに整備したい計画を立てていますが、まだ十分ではありません。
書いているうちに止まらなくなりそうですので、小規模多機能型サービスについては次回にも取り上げたいと思います。