寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ今後の介護保険を取り巻く状況について②
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
今回は、今後の介護保険を取り巻く状況について、第177回介護給付費分科会資料に基づき取り上げたいと思います。
日本において「認知症」という言葉が浸透してきました。
かつては「痴呆」と呼ばれていましたが、差別的なことばということで、いつの日か認知症と呼ばれるようになりました。もっとも、いまだに一般の方の中には「痴呆」と呼んでいる方もいらっしゃいますが・・・
認知症とは、簡単に申しますと脳の働きが低下することによる、さまざまな症状のことです。
短期記憶障害や判断力低下、見当識障害(自分がどこにいるのかがわからなくなること)等といった「中核症状」と、環境や体験等によって出現する症状(例えば暴言・暴力・妄想・徘徊等)である「周辺症状」にわかれます。
加齢や脳血管疾患等により、脳が萎縮したりして、上記のような症状が出現します。
これはある程度年齢を重ねていけば、誰にでも起こりうることであり、現在の医学で認知症を完全に治すことはできないとまで言われています。
分科会で提示されたデータによると、65歳以上の高齢者のうち認知症の方が2015年には462万人なのが、2025年には700万人にまで増加し、なんと65歳人口の2割に相当するとのこと。
程度の差こそあれ、認知症になるのは生きていく限り避けられず、いかにして認知症と上手に付き合っていくかという考えに及んでいく、ということですね。
認知症は何人もなる病気であり、そういう人をいかにして受け入れ、支えていくかが非常に大事になってくるわけですね。
認知症を語る上で大事になるのが、人間としての尊厳をどう確保するかです。
その人らしい生き方を重要視するということなのですが、認知症にかかった方を支援するのは非常に大変です。
認知症の親に虐待することがあってはならないというのは、誰でもそう思います。しかし、なくならない。
働き方改革という言葉を目にしますが、そうはいっても介護のために休暇を取得したり転職したりするのは、まだまだ困難です。
また、判断能力が明らかに低下した高齢者が、なかなか自動車運転免許を返納せず、いくら親族が説得しても聞かず、大事故に発展するケースもあります。「車を運転したい」という個人の尊厳を守る裏側には、痛ましい交通事故リスクが存在します。
きれいごとではなく、なかなか両立しえない部分も多いのです。
まずはじめにすべきことは、多くの方に「認知症」が何なのか、そしてどういう現状なのかを知っていただくことではないでしょうか。