寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「特別養護老人ホームの入所状況②」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
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テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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特別養護老人ホームの入所状況②

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2020-05-26 08:00

こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


特別養護老人ホーム(以下「特養」)の入所状況について、過去に書かせていただきましたが、今回はその2回目です。


過去コラムにも書いた通り、特養への入所はハードルが高く、待機状況は若干改善されているものの依然として10万人単位で待機している状況であります。


特養に入りやすくなったというのは、在宅介護に限界を感じていらっしゃる方にとっては朗報です。

ご家族の介護力の問題や、そもそもご家族がおらずに独居されている方、認知症状のある方にとっては、在宅で生活を継続するのは非常に困難がつきまといます。現在は、有料老人ホームやサ高住が増えてきて、入居費用がお手頃な設定になっているところも増えてきているものの、それでも特養に比べれば高価にならざるを得ません。経済的に厳しい方にとっては、特養であれば年金の範囲で入所できる建前ですので、やはり人気が出るのは当然です。


そのため、過去の法改正においては、軽度者(要介護1・2)は基本的に特養に入所できないという制限を設けたわけです。

また、少人数できめ細かい介護を提供することを重要視し、7~9名を1つのユニットに分けて、ユニットごとに人員を配置して介護サービスを提供することが推奨され、いわゆる「多床室」は新規で指定しないという動きにもなりました。


しかし、ここが問題になったのです。


2019年の厚生労働省の統計によれば、軽度者の特例入所が3.4万人いたそうです。軽度者であってもやむを得ない事情があれば、施設の判断(保険者の意見も聴いた上での判断)で特例入所を認めています。


これは、かなり大きな数字だと考えます。

3.4万人。これは氷山の一角に過ぎません。軽度者であっても潜在的にやむを得ない事情を抱えている方は、もっと存在するはず。


ユニット型特養について、ここ数年で新設された特養は、基本的にこのタイプが主流です。

しかし、従来型(多床室メイン)特養に比べると、人員を手厚く配置する分報酬が高めに設定されていて、それはご利用者様の自己負担に反映されます。また、補足給付の一つである室料(ホテルコストともいいます)も、当然ながら多床室より高いです。個室ですから当然ではありますが・・・


特養は、建前としては年金の範囲で利用料が賄える仕組みになっています。前述の補足給付についても、世帯ごとの所得の多寡に応じて室料や食事代が設定されているので、負担できないということは基本的にないはずです。


にもかかわらず、利用者は負担の多いユニット型よりも、従来型のほうが安いので、そちらへの申し込みが殺到しているのです。

ですので最近では、特養においてベッドが埋まらずに空いているというところが増えているのです。

そこに人員不足が相まって、基準を満たせずにフロアがオープンできないという悪循環にもなっています。


介護老人保健施設では、ずいぶん前からベッド稼働率を高めるために病院等へ営業活動をしているところが増えています。老健も、報酬改定により在宅復帰に重きを置いてきているため、リハビリを頑張って短期間で在宅に帰すとベッドが空くという、いわばトレードオフの状況になっていて苦心されています。


ベッド稼働率を高い水準で維持することは、特養であっても同じです。

しかし、従来のように特養入所が困難を極めていた時代では、何も考えなくても満床になっていたものが、のんきに構えていては厳しい状況になってしまうということです。


このトピックの続きは、もう1回位書かせていただきます。


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