寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「地域包括支援センターの今後の役割について②」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

寺崎 芳紀

テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
株式会社アースソリューション 代表取締役
Q&A回答への評価:
4.3/6件
サービス:2件
Q&A:12件
コラム:371件
写真:3件
お気軽にお問い合わせください
03-5858-9916
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

地域包括支援センターの今後の役割について②

- good

2020-06-12 08:00

こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


5月18日に、地域包括支援センターの今後の役割について書かせていただきましたが、本日はその2回目です。お付き合いいただけますと幸いです。


皆さん、「8050問題」という言葉をご存知でしょうか?

中年に達した引きこもりの子が同協する世帯において、親が80歳、子が50歳を迎え、親の介護と子の生活維持が同時発生することをいいます。


就職氷河期と言われた2000年前後の世代は、大学を卒業しても就職できず、非正規雇用を強いられた時代です。もちろん、優秀な学生はたくさんいて、そういう方は普通に就職できたでしょう。しかし、通常であれば普通に就職できたであろう方が、この時期では就職にあふれてしまった。結果、不本意にも非正規雇用による就労を強いられ、収入が高くない中で中年を迎える。そしてその親は高齢となり、親の介護を子の成果維持の問題が同時発生している、ということなのです。


8050問題が深刻になるのは、もう少し先になりそうですが、とはいえ既に厳しい問題を抱えています。

引きこもりとなった子、その子どもに身を案じる親。

元気だと思っていた親も、やはり年を取る。そろそろ自立してほしいと願うが、その子どもも中年に差し掛かってくれば、ますます就職は難しくなる。親子の収入は親の年金のみ。ただでさえ深刻なのに、そこへ親が介護状態になってしまったら、果たして生活はどうなってしまうのか・・・


実際、この状況に陥った家族が、役所等へ相談に行ってもまともには対応していただけない。「〇〇課へ行ってください」「△△センターに相談してみてください」と。

生活保護も、受給するのは非常に大変です。近年では生活保護の不正受給が頻発していることから、福祉事務所も受給申請にかなりナーバスになっています。結果として、本当に必要としている方が受給できないケースもあります。


前置きが長くなって恐縮ですが、上記のような対策として、介護・障害・子ども・困窮の相談支援にかかる事業を、「地域包括支援センター」などに一本化するというのです。

国は、来年度の介護保険法改正において、「重層的支援体制整備事業」として、地域包括支援センターに更なる役割を与えようとしています。

そして、「断らない相談支援」として、これまでたらい回しになっていた諸問題を、まずは地域包括支援センターが吸い上げていくということです。


8050問題は大変深刻で、何とかしていなかければならない大問題だと思います。

しかし、ただでさえ業務過多となっている地域包括支援センターに対し、更にこのような事業まで担わせるのであれば、現状の体制ではとても不可能だと思います。

専門職たる人員を拡充したり、事業の委託費を増額したり、効率化を図ったりしない限り、難しいのではないかと。


少なくとも、現在の地域包括支援センターが担う事業の中で、介護予防支援については居宅介護支援事業所に振っていかないとどうにもならない。

問題として、予防支援費の報酬が低すぎて、居宅介護支援事業所へ委託しようにも受けてくれないという話もあります。確かに、要介護者に比べれば、要支援者(事業対象者)への支援は手間がかからないといえるかもしれませんが、そうでもない。予防支援の場合3が月ごとでよいとなっているモニタリングも、なんだかんだで月1回行っているケアマネさんも多いのです。


予防支援を居宅支援事業所の役割とするのであれば、少なくとも現状の報酬体系では無理です。「きめ細かいケアマネジメントを実現させる」ことを目的に、ケアマネ1名が担当する利用者数も制限を設けている中、いたずらに拡大するのが難しいなら、尚のこと予防支援報酬(居宅介護支援報酬も)を増やさなければならないと思うのです。


対策を取らずに地域包括支援センターに業務を丸投げしてしまうようでは、業務過多で専門職が疲弊してしまう。


新型コロナの対応に追われ、過酷な業務を強いられている保健所の方々のようには、絶対にしてはいけない。



プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真