寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ居宅介護支援事業所の管理者要件について
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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
今年1月に、居宅介護支援事業所における管理者の要件について、社会保障審議会・介護給付費分科会にて審議されました。
それまでは、居宅介護支援管理者の資格要件を、「主任介護支援専門員(主任ケアマネ)」に限定する」というルールになり、2021年4月から完全移行する予定でした。
しかし、業界団体からの反対が根強く、当該分科会において加藤厚生労働大臣からの諮問に対し、出席者から「時期尚早」ということとなり、2027年3月末日まで猶予(ただし、条件付き)することとなったことは、業界関係者であれば記憶に新しいことと存じます。
6年間の経過措置延長ということになります。
私は、もともと主任ケアマネ制度には、かなり懐疑的でした。
ケアマネジメントの知識やスキルを磨くことは、確かに大切です。
しかし、各サービス事業において必ず位置づけられている「管理者」の責務について、国はどのようにお考えなのか、私にはよくわかりません。
「管理者」とは、英語で言えば「Manager」。一般的には、組織の統率(マネジメント)をする人だと、私は理解しております。ここには異論はないところかと・・・
ところが、主任ケアマネ養成研修のカリキュラムには、ケアマネジメント技術やターミナルケア、制度の理解や対人援助技術等、テクニカルな内容に終始し、組織のマネジャーに必要な組織論や人事、戦略論等といった内容がほとんどないのです。
事業所組織の管理者の要件にするのであれば、当然ながら組織マネジメントについてはどこかで学んだりして、ある程度素養を身に着けていないと厳しいように思うのですが、どうやらそうではなさそうに見えます。
それで本当によいのでしょうか?
実際に、居宅支援の管理者の中には、組織のマネジメントにも長けている方はたくさんいらっしゃいます。しかしそれは、その方が属している法人が、将来を見据えて研修をしっかりされているか、ご本人が独自で努力をされて勉強されているか、どちらかなのではないかと思うのです。
おまけに、費用は高いですし、通常の介護支援専門員の資格も5年で更新しなければならない。それも長期間の更新研修を受け、数万円かかる。
本来、こんなことを言ってはいけないのですが、関係者・関係団体の利権が、どうしてもチラチラ見えてしまいます。
専門職ですから、もちろん勉強は必要です。
しかし、これだけ人材不足が叫ばれる中、介護支援専門員研修の在り方については、今一度見つめ直す必要があるのではないでしょうか。
近年、介護支援専門員実務研修受講試験は、かなり難易度が高くなってきております。私が取得したときより、かなり難化しています。そんな中、業務が大変な割に報酬の見返りが少ないと考える方も多く、資格更新を断念する方も後を絶ちません。
介護職員は、「介護職員処遇改善加算」の算定対象になっておりますので、事業所で算定した報酬の分配をうけることができます。しかし、ケアマネは基本的に対象外です。
そのため、最近では給与相場が介護職とケアマネとの間で逆転現象を引き起こしているところもあります。
サービスを提供するという「貢献」に対して、報酬という「誘因」が少ないと感じれば、そこから離れてしまう方が多くなっても、それはごく自然なことです。
そんなことにならないよう、制度設計をしていかないとどうにもなりません。
2021年度介護保険法改正については、(前々からずっと言われていることですが)人材確保の確保」というところに焦点を当てています。
この詳細につきましては、次回お話したいと思います。