千田 純子(獣医)- Q&A回答「口輪の装着をワンちゃんに教えてあげましょう。」 - 専門家プロファイル

千田 純子
科学的な理論を基に人と動物が共生できる方法を提案します。

千田 純子

センダ ジュンコ
( 千葉県 / 獣医 )
ペット行動コンサルタントSENDA 
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フレンチブルドッグ(成犬)の噛み癖について

2014/05/25 18:47

ペットの噛み癖に悩んでおります。何か良い方法があれば教えていただければ助かります。よろしくお願いいたします。
 2週間前にフレンチブルドッグ(推定4歳・去勢はまだ)をボランティアで保護活動を行っている団体さんから引き取りました。その子の経緯は、スーパーマーケットに置き去りにされて、その後保健所に連れて行かれ、ボランティア団体に引き取られました。保健所では、噛み癖が原因で譲渡犬になれなかったようです。素人目から見た印象ですと、人間やほかのワンちゃんに慣れていないように思います。
 犬を引き取ってから2週間経ちましたが、私も何回も手や腕を噛まれ(本気噛み)出血もしました。状況としては、散歩から帰ってきて体を拭いてるとき(顔付近にウェットシートを近づけたとき)が多いです。その度に大きな声で叱り(ダメ・コラ・イケナイといった短い単語)、叩いたりなどはしておりません。叱っているときは、う~と唸って反発してますが、そのうち大人しくなります。普段は吠えもせず、おすわり、お手、待て、おいでといった指示にもほぼ従います。2週間の間にだんだんと噛むことが少なくなってきていると感じたため、本日動物病院に行き、健診をしてまいりました。
しかし、そこで他の犬を見て大興奮、獣医師さんには唸り威嚇、体を触ろうとしようものなら、噛みつきにかかりました。やっとの思いでエリザベスカラーを装着し、なんとか健診は済みました。本当にもう大変でした。
その際、獣医師さんに「去勢手術をしたとしても、この攻撃性は完全には無くならないでしょう。行動療法・しつけをしっかり行う必要があります」と言われました。
インターネットや本を見ても効果的な方法がわかりません。この場合、どのような行動療法をすべきなのでしょうか?
狂犬病や予防接種、去勢手術を受けさせたいのですが、上記のような状態では病院に行くことが困難です。どなたか良い方法を教えていただけませんでしょうか?
どうぞ宜しくお願い致します。

ひろだんさん ( 宮崎県 / 男性 / 27歳 )

口輪の装着をワンちゃんに教えてあげましょう。

2014/05/25 21:31

獣医師でしつけや問題行動の相談を受けている千田です。

体を触ること時、または体を触ろうと予期した時に攻撃性を出すということでしょうか。
フレンチブルドッグでこうした状況で攻撃性を出した犬を指導したことがあります。

行動修正法のやり方は、ご褒美を与えながら体を触るということを少しずつ進めていくことです。
できるだけ、動物病院に通って、獣医師さんにご褒美だけもらって帰るということを繰り返します。
並行して、口輪の装着をしていきます。体を触られたら良いことがあると教えていきます。

私が指導した犬は、生後6ヶ月から私のパピークラスに出て、飼い主の奥様だけは保定で来ました。パピークラスに出ていた時は、他の犬にも人にも攻撃的ではありませんでしたが、フレンドリーという状態ではなく、パピークラスを終わってから、継続してトレーニングをすることを勧めたのですが、継続してはいただけませんでした。次に相談に来た時には、人にも犬にも攻撃的になっていました。通りすがりの人や犬に対して、吠え付いていく状態で、それを止めようとしたご主人が噛まれたそうです。押さえ込もうとして飼い主のご主人が噛まれて、制御できなくなってから相談にとられました。それまで、ご主人がかなり強引に押さえつけたりしていたようです。

こちらでは、ご褒美を使って体を触る練習をしたり、人や犬に対する慣らすために保育園で預かったりして1年ぐらいかかりましたが、通りすがりの人や犬に対して攻撃行動を示すことはなくなりました。口輪もエリザベスカラーもご褒美を使って奥様が装着できるように指導し、獣医さんの診察もトリミングも可能になりましたが、、口輪とエリザベスカラーを奥様に装着してから来てもらうようにしました。嫌いな人が嫌なことをしようとすると噛むというのは死ぬまで治りませんでした。最初に信頼関係をつけた人(奥様)は何をしても大丈夫でしたが、嫌な記憶と結びついた人、ご主人、獣医師、トリマーの攻撃性を落とすのは難しかったです。

ひろだんさんは最初の信頼関係を作るのは成功したように思います。何があっても叱らずに、人や犬、触られることがあると、気持ちよいこと(快刺激)があると教えていってください。しかし、嫌なことがあるとすぐに戻ってしまうので、体を触らなければならない時は、必ず口輪を装着をすることが必要だと思います。

フレンチブルドッグは、愛情深く、飼い主との信頼関係の強い犬ですが、その分、見知らぬ人や犬に対しての攻撃性や警戒心が強く出るのかもしれません。社会化期(生後12週齢まで)に十分社会化しておくことができないと、成犬になってからこういう問題が出てくることになります。完全に攻撃性をなくすことは難しいかもしれませんが、十分生活ができる程度に抑えるとこはできると思います。

愛情をかけて、根気よく、接してあげてください。

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