小松原 敬(建築家)- コラム「失敗しない家を建てる時の基礎知識(3)」 - 専門家プロファイル

小松原 敬
富士北山の木で家を建てませんか

小松原 敬

コマツバラ タカシ
( 神奈川県 / 建築家 )
一級建築士事務所 オフィス・アースワークス 代表
Q&A回答への評価:
4.6/228件
サービス:2件
Q&A:363件
コラム:11件
写真:3件
お気軽にお問い合わせください
045-314-5360
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼
専門家への資料の請求は、こちらからお問い合わせください。
資料の請求
一級建築士事務所オフィス・アースワークス(※外部サイトへのリンクです)
あーすわーくす

失敗しない家を建てる時の基礎知識(3)

- good

失敗しない家を建てる時の基礎知識 2010-08-05 19:11

住宅ローンの相談をするときにまったく残念なのは、金融機関の住宅ローンの担当者で建築のプロセスに疎い人が多い(というかほとんど)であることです。
また、ローンのシステムも建売を前提にしてるとしか思えないような作りになっています。

いちばん大きな部分としては「つなぎ融資」が必要になるという部分です。住宅ローンは基本的に、家が竣工しないと全額融資が降りません。これは建売前提としか思えないシステムです。
家を「建てる」というプロジェクトでは当然、 それまでにいろいろとお金がかかります。工務店に建築を依頼する場合は、施工費を何分割かして払います。それは工務店側としては、材料の手配や人の手配にいろいろお金がかかるわけですから当然です。
竣工までお金はいりません、という会社があるとすれば当然金利分は上乗せされている可能性が高いです。また、下請けへの支払いをなるべく延ばすなどのやり方をしてる場合もあります。工務店の選択の巾をそこに限定されるのは賢明ではありません。

良い施工会社を選ぶ為には、つなぎ融資をきちんと出してくれる金融機関を選ぶ必要があります。そこも金融機関を選ぶ基準になります。

つなぎ融資がいらないシステムもあります。これは「すまいと MONEY PLAN」というもので、すまいと という会社が金融機関と契約して提供している住宅ローンです。
これの特徴は出来高払いで融資が受けられることです。出来高払いなので工事過程がチェックでき、不幸にして工務店が途中で倒産してしまった場合も過払いがなくてすみます。
なによりつなぎ融資がなくてすむのは大きいです。つなぎ融資は短期間とはいえ住宅ローンとは別のローンを組むことになるので住宅ローンより高い金利も発生します。
すまいと自体の金利なども比較する必要はありますが、いろいろなメリットと引換えで考えると考慮する価値はあります。

土地建物でローンを組む時も注意が必要です。
住宅ローンは土地だけでは組めません。土地だけ低利のローンで買って転売されては困るからです。ですので、土地と建物はセットで金融機関でローンを組まなければいけません。 
この場合の金消(金銭消費貸借契約)では、土地と建物を同時にローン契約するやり方と、土地と建物を別々にローン契約するやり方があります。ここで大事なのは、土地と建物を別々にローン契約するように事前に確認をしておくことです。
土地を買った時点では、どんな設計なのか、どこの工務店で建てるかなどが決まっているわけがありません。それでも金融機関は土地の金消の時に、プランと見積りを添付するように求めてきます。これは建物を建てるというある一定の確約の証拠の為です。

現実的には有り得ないのですが、ここでは設計の中途成果としてのプランと概算見積りを添付するしかありません。
土地を決める時点で、設計事務所に相談していればプランと見積りは用意できます。実際には、ここから設計が進むのでプランや見積り額は変わってもいいのですが、借入額に基づいて見積り額や床面積がある程度実際の時と大きく変わらないものが必要です。
また、地盤調査の結果によって追加金額が必要になることもあります。その場合も、与信があれば建物のローンを増額できます。

もし、金消を土地とローン同時にしてしまうと工務店との契約書まで求められてしまいます。そうすると、土地の購入時に建物のプランもローン金額も工務店までも固定されてしまいます。不動産屋が用意したローンを注意せずに使うとそういう事態になることがあります。時には、斡旋された施工業者しか使えなくなってしまうこともあります。事前にきちんと金融機関の目星をつけておくことは重要です。

それから、土地の契約を不動産業者とするときには通常「ローン特約」をつけます。これはなんらかの原因で、住宅ローン契約ができない事態に陥ったときに、土地の契約を手数料も含めて白紙にできるという特約です。このローン特約に記入する金額も重要です。
例えば、自己資金500万、土地のローン1500万、建物ローン2000万、土地代金2000万、という条件のローンを組んだとします。
この時にローン特約を土地代金だけの1500万にしてしまう人がいます。この場合は建物ローンも含めた3500万にするほうが安全です。
なぜなら、ローン総額では3500万の融資を受ける約束でありながら条件が変わった事を理由に2500万しか出せない、などと金融機関に言われることも場合によってはあるからです。(ひどい話ですが)
その時に2500万の融資枠がある場合、ローン特約の金額が1500万だと土地の契約は白紙撤回できなくなります。そうすると残り1000万しか資金がなくなってしまいます。そうすると、他から1000万を融通してもらうか(他ってどこ?)手付を放棄して土地契約を解除するしかなくなります。
この場合の手付金は場合によりますが、1割だったら200万になります。
ローン特約を3500万にしておけば、この場合も白紙撤回して手付金を失わずにすみます。


長くなりましたが、このように金融機関やローンについてあらかじめ準備をしておく事は非常に大事なのです。 

 

 

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真