山内 ケイト(ビジネスコーチ)- コラム「押しの弱いエンジニアの強みは「優しく相手を動かす」」 - 専門家プロファイル

山内 ケイト
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山内 ケイト

ヤマウチ ケイト
( 東京都 / ビジネスコーチ )
ドリームアップデザイン株式会社 Executive Director
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押しの弱いエンジニアの強みは「優しく相手を動かす」

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行動心理 2012-03-28 01:02
いわゆる草食系というか、優しくて押しの弱いエンジニアがいました。
(過去形ですが、今でもエンジニアを元気にやっています。)


彼の見た目はちょっとオタク系でスリムな体型で小柄なので、傍から見てると「この担当は大丈夫かな」と思わせる所があります。


残念ながら優しいことが災いして、社内の重要な会合に出ると、大変な役回りを押し付けられたり、開発要件の追加推進の旗振りを、本来なら開発部門が担当するはずなのに担当を任されたりしています。


きっと、もっと気持ちが強くなれば担当しないか、もしくは担当になったとしても他のメンバーにいろんなことを任せるように動くことができるのではと思います。


本人も本人なりに強く言ったりしているようですが、うまくいかないようです。

そんなエンジニアに、ただ「もっと積極的に」とか、「強く言ったら?」とかアドバイスしてもなかなかうまくいきません。

本人は頑張っているのですから。


私の昔のボスはとても優しく話す人で、決して「ああしろ、こうしろ」と言うのを聞いたことがありません。

そして、いつの間にか部下をうまく動かしていました。


その手法は、こんな感じです。

相手がその方向にしか動けないように、「あの人はXXだから、こうした方がいいよね。
XXXはこういう考えでやるのが理想だよね。お客様が望んでいることだし。
それで、XXXはこうだから、いつまでにXXXをやってもらえると助かるなあ。」
というのを、ニコニコしながら優しく言うのです。

後から考えると、その言葉にがんじがらめになっている自分を発見したりします。
でも、それはそのボスの勝ちです。


そんな風に、何かうまい言葉を使うことで相手を動かすことができるってことを、
草食系のエンジニアに話してみました。

「XXさんは、誰もが思うと思うけど、気持ちがとっても優しいよね。
それで、私の昔のボスはものすごく優しいんだけど、人を動かす話し方をするのがとっても上手くて、
命令が優しさに包まれているので、誰も嫌な感じで受け取ったことがないんだよね。
XXさんもそれを身に着けたら、きっと回りもすごく変わると思うよ。
XXさんにとってものすごい武器になると思う。」

そうすると、「そうですねえ。やってみます!」と力強い言葉が返ってきました。
ちょっとびっくりするほど力強かったのを覚えています。


その後、そのエンジニアはその優しさをうまく使って、だんだん相手を動かすことができるように
なってきました。

その成果も出てきて、もちろん、上司も一目置くようになっています。


相手を動かすようにするには、仕組みは単純です。
Yesセットと自己重要感とあいまいな言葉を組み合わせて使います。

例えば、

「この資料はお客様から受領したものだから、これを基にして考える必要があるよね?」
→「はい」

ここで「いいえ」と言う返事をすることはありません。
このように、返事が「はい」となるような質問を積み重ねていきます。
これがYseセットです。

「XXさんは、少しはこの資料の内容を知っているよね?もちろんかじった程度でいいんだけど。」
→「(この前ちょっと話を聞いた程度だけど・・・・)はい」

「XXさんは、時間的にこれを読むくらいの余裕はあるよね?20ページぐらいだし。
最初の数ページは概要だから特に何もないと思うんだ。」
→「はい」(20ページよりあると思うけど・・・・ま、いいか最初のほうは何もないらしいから・・・)


「ほかの人は別のことを担当してもらうので、ちょっとこれを読んで、分かるところだけでいいので、
問題点をまとめておいてくれない?XXさんはそういうまとめがみんなより上手いから。」

→「(うまいかなあ??? そう言われちゃしょうがない)はい」

まとめが上手いと言われちゃあ、半端なものを出すことはできないから、
Xxさんは一生懸命に良いものを作ろうとしますね。


これは例えばなので、誰にでもあてはまるわけではありません。
でも、ポイントはどんな場合でも同じです。

・相手の返事がYesになるような質問をする。
・相手の自己重要感(褒める、認める)を高める話をする。
・あいまいな表現をする。
  例:他の人、みんな、~くらい、かじった程度、少しは、余裕、分かるところだけ、数ページ

あいまいな表現とは、例えば「他の人」と言われれば、その部署に所属しているメンバー全員なのか
それとも一人でもいいのか、この表現だけではわかりません。
数ページだって、1ページなのか5~6ページなのか、人によって使い方はマチマチです。

このように、「これ」と特定できない表現を使うということです。


ただし、もともと信頼関係がない相手には、何をしても通じません。
まずは、信頼関係を築くところから始めましょう。


これをニコニコしながら優しく言われたら、なかなか反論もしにくいものです。
でも、事務的に言われたり、高圧的に言われたら、私なら心の中で「え~~~、また?いやんなっちゃうなあ」と反発しているでしょう。

ですので、優しく言う技術を持っている人にとっては、とても速く身に着けられるのではないかと思っています。
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