こんにちは、今井淑恵です。
「ことのは探訪」をお届けします。

もうすぐ年に一度の七夕さま、

いくつになっても、この日は晴れていてほしいと思ってしまいますが
あなたはどのような思いで「天の川」を探すのかしら？

◆◆今井淑恵の　《大人のきれい字 ことのは探訪》　～七夕～◆◆

七月になると、なにはともあれ七夕でしょうか。

「たなばた」何かしら、なつかしい響きですね。

昔の人々がそうしたように、
もっと素直な気持ちで七夕の夜に想像を逞しくしてみましょう。

たとえば、七夕をテーマにした和歌に思いを巡らしてみるとか…


　　｜かささぎの　渡せる橋に　おく霜の
　　｜　　白きをみれば　夜ぞ更けにける
　　｜　　　　　　　　　　　　中納言家持

小倉百人一首にも収められていて、古来有名な一首です。

宮中正殿前の階段、すなわち御階（みはし）を
天の川にかかる橋に喩えたものとの解釈が普通ですが、
地上の実景と切り離す見方もあります。

天空のドラマを純粋に幻視しているとする解釈です。

天の川伝説に思いを馳せつつ、
夏から秋への移り変わりを詠んだとするもので、
（ちなみに旧暦の七月は秋で、七夕も秋の季語です）

そう言われると、藤原定家が百人一首に選ぶにふさわしく、
ダイナミックで幻想的な歌のような気もします。


また、これも有名な作品ですが、
松尾芭蕉の　「荒海や佐渡に横たふ天の川」も
天上ロマンを際だたせてくれます。

流刑の地という佐渡島の歴史を背景にして、
敗者たちの恨み辛みを思わせる波濤の上、
永遠のロマンである天の川が静かに流れている……


地上のこと、世俗のこと、
なにかと憂鬱なニュースばかりが続く昨今ですが、
七夕の夜くらいは、静かに夜空を眺めてみたいものです。

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