- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
朝の朝礼時に木材の収縮率についての講習会を行った。
材木がその含水率の変化にともなって寸法が変わるのは誰でも知っている事実ではあるのだが、ではどのくらいの水分量の変化で何ミリ程度の変化が起こるかという具体的な数値を知っている方は少ないだろう。実はこの変形量の目安、樹種ごとに数値化されていて、これを知っていればある程度の予想は出来るのである。例えば米松の梁の場合、その板目方向の平均収縮率は0.23である。この数値は含水率が1%変化するとその材の何パーセントの寸法が変化しますよということを現している。25%の含水率の梁を利用した場合最終的な含水率の落ち着きどころが大体15%程度であるのでその変化は10%だ。梁の高さが30センチだとすると30*10/100*0.23=0.69なので約7ミリ変化しますよ、ということになるわけである。
下の写真は、2005年に埼玉県に建てた鳩ヶ谷本町の家の様子である。ここでは高さ約36センチの杉の梁を利用している。この杉の変形率も大体米松と同じ程度であるので、その変形量は8ミリ程度である。そういうことを予想しながら住宅を作ることが、木造ならではの面白いところであろう。