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旅館はホテルか料亭か?

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「部屋出し」

従来、日本の宿では、食事を客室で提供することが多かった。

旅館業では「部屋出し」という。

部屋出しは、食事のプライバシーが完全に確保され、家族連れや接待、しっぽりと食事したい方々には重宝されてきた。

しかし、客室で食事を提供するためには、多くの労力を必要とする。

加えて、高齢の仲居さんには、足腰の負担が大きい。

若い仲居さんは、個室接待を嫌がり、そうした旅館に就業したがらない。

そのため、長年、労力確保が旅館の悩みのひとつとなっている。

そうした経緯から部屋出しをやめ、レストランスタイルにする宿が増えた。

旅館は、ここ10年で、「客室に出入りしない」ホテルスタイルにどんどん変化してきている。


旅館はホテルではなかった

これまでホテルスタイルではなかったというが、では今までは何だったのか。

おそらく、多くの方が、旅館は、ホテル同様「客室稼働率を高めて稼いでいる」装置型産業だと思っていたことだろう。設備資金を融資している金融機関でさえだ。

実はこれまで、旅館はホテルというより「料亭」に近い業態だった。

部屋に飲み物を持ち込むのを嫌がり、持ち込み料を取るのも、料亭なら当然だ。

そんな料亭が、客室稼働率を高めようと思えば、部屋出しのための人手確保が必要となる。

しかし人手がないと、客室稼働率を思うように高められない。

実は、旅館は、そんな(人手が客室稼働率を左右する)労働集約型産業だったのである。

では、客室稼働率を高められないとどうなるか。


旅館の料理の多い理由

料理で稼ぐしかない。

そこで、たくさんの量の料理が出る。

宿泊単価を維持するためには必要だからである。

そんな料理も、「人を接待する」場合にはたいそう喜ばれる。

むしろ、少ないと幹事役に怒られる。

すなわち、旅館は、自分で楽しむというより、人を接待する場として機能してきたのだ。


チップにしても、「後払い」のホテルとは違い、「先払い」。

これは「心付け」という、一種賄賂性のにおいのする「こづかい」だ。

接待するために人を連れてきた旦那さんが「あんじょうしてな」と仲居に渡す。

こうなると海外生まれのホテルのチップとは異質のものだとおわかりいただけるだろう。


食からの解放

しかし、そんな旅館の事業モデルもホテルに近づいていると申し上げた。

部屋出しは徐々に少なくなり、レストラン食になりつつある。

同時に人手も合理化され、料理も適量になりつつある。

今では「心付け」の心配も無用だ。

その代わり、

旅館は「客室稼働率を高める」ことを求められるようになってきている。

ただ、シティホテルと違い、実はこれが難しい・・・。

「オフシーズン」と「平日」があるためだ。

どうやって客室を埋めるのか。


まず、やるべきことは、ホテル同様に「素泊まり」を増やすことだろう。

毎日X組限定というやり方でもいい。

全ての宿泊客にコース料理を提供している限り、客室稼働率は高まらないと思う。

そう旅館に言うと、「周辺に食事ができるところがない」と返ってくる。

それならば、アラカルトで頼めるようにするのがいい。

そのために真空調理の導入など、調理場改革も必要だろう。

食から解放されれば、連泊する客も増えてくるはずだ。


残念ながら、料亭モデルを引きずった旅館は、この(素泊まり導入以前の)段階で止まっている。

料亭モデルを続けるか、ホテルモデルに変わるか。

旅館は、大きな変革の時を迎えている。


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(東京都 / マーケティングプランナー)
株式会社井門観光研究所 代表取締役

旅館業を知りつくした「観光地再生」の仕掛け人

20年の旅行業経験や10年にわたる旅館事業再生の現場を通して得た独自の知見とノウハウを持つ「旅館アナリスト」。「旅館業と地域との連携」や「インバウンド受入推進」等を通じて、新しい時代に対応した「地域の仕組みづくり」の実践を支援しています。

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