どんな人間でも生まれ変わることが出来る! - コラム - 専門家プロファイル

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どんな人間でも生まれ変わることが出来る!

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徒然日記

昔、インドに指鬘(しまん)という殺人鬼がいました。

指鬘は人を殺しては指を切り取っていくのです。

住民たちは王様に掛け合い、早く指鬘を捕まえるように頼みました。



仏陀は弟子からその話を聴くと、指鬘が潜んでいるという森に向かいました。

危険だと止めようとする住民に「大丈夫です。」と声をかけ、
一人で森に入っていくと、獲物を待っていた指鬘が現れました。



「一人で来るとは大胆な奴だ。」

と、指鬘が仏陀に剣を振り下ろしますが、何故か当たりません。

何度振り下ろそうとも、風を切る音だけが鳴り響きます。



疲れて座り込んだ指鬘は仏陀にこう叫びます。

「そこを動くな!止まれ!」



仏陀は静かな威厳のある声で次のように言います。

「私は止まっている。指鬘よ、お前こそ止まりなさい。」

「座っているこの俺が動いているというのか。」

「私の心は静止している。
お前は不殺生の自制心を失い心が乱れ動揺しているのだ。
動いているのはお前だ。指鬘よ、正気に返れ。」



仏陀は指鬘の前に座り教えを説きました。

教えを聴いた指鬘は、刀を投げ捨て仏陀にこう尋ねます。



「先生、私を弟子にして下さいますか?」

「弟子指鬘よ。私に付いてきなさい。」



その頃、住民たちの訴えを受けた王様が、
指鬘を召し取りにいくために準備を済ませていました。

仏陀の教えを受けて信仰の強かった王様は、仏陀の元へ訪れます。



「これから指鬘を捕らえに行きます。」

「それは大儀なことです。
ところで王様に尋ねたいことがあります。
もし指鬘が改心して私の弟子となったらどうしますか?」

「仏陀の弟子ならば誰でも同じことです。
供養礼拝を致します。
ですが、指鬘のような根っからの極悪人が弟子になるとは考えられません。」

「そうですか。
その指鬘が立派に改心して私の弟子となりました。
指鬘よ、こちらにおいでなさい。」



そこに現れたのは、髪を剃り袈裟を着ていた指鬘でした。

驚いた王様でしたが、仏陀に話した通り弟子として扱うことになったのです。



しかし、弟子になった後も指鬘の苦悩は続きました。

指鬘が托鉢に行く度に、元殺人鬼である指鬘は罵声を浴びせられ、
住民たちに打ち据えられていたのです。



血を流しながら耐えて帰ってくる指鬘を見た仏陀は目を潤ませながら言いました。

「すべては移り変わって行く。
同じ状態で続くものはこの世には何もない。
それは時や物だけではない。人や噂も同じなのだ。
それを無常というのだよ。」



それから時が流れ…。

仏陀の言葉通り、指鬘が殺人鬼だったことは忘れられていきました。



ある日、仏陀の元で長年仕えている阿難が、指鬘にこう尋ねます。

「お母様は元気なのですか?」



阿難に尋ねられた指鬘はゆっくりと口を開きました。



「今まで誰にも話したことは無かったのですが…。
私の様な殺人鬼の子を産んだという理由で父に追われ、
森の中で首を吊って死んだと聞きました。

父もその後、大臣の職を辞し行方がわからなくなりました。
私が犯した罪の大きさは、年月を経ても少しも変わりません。

実はあの事件の日、先生に会う少し前、別の人間に出逢いました。

狂人だった私は、その人間を捕まえ剣を胸の前に押し付けた時、
『早く殺しなさい。』と女性の声がして、見てみると母だったのです。

『母を殺して、お前も死んでおくれ。』と言われました。

その時、先生が向こうから歩いて来られたので、
母を失神させ先生を襲おうとしたのです。

私が先生に救われたことを、気絶していた母は知らなかったのです。
母が自殺したのは、私の殺した人々へのお詫びのつもりだったのだと思います。

私は自分が殺した人々の家族の悲しみや不幸を私は忘れたことがありません。
この世で一番悪い人間の罪は無智ということではないでしょうか。

『戒律の一番重いものは不殺生だ。殺してはならぬ、殺させてはならぬ。』

と先生が説かれる度、私に向けてのお説教だと思い全身を硬直させていました。

私には自分の拭いきれない罪に後悔し続けて生きるということが、
地獄のどんな責苦とやらより辛いのです。

だからこそ、自分には永遠に死ぬ事が許されないような気さえしております。」



指鬘は出家者となってからも重い罪を背負って修行を続けていたのです。



その指鬘が町を歩いている際、
一人の男が家から飛び出してきて指鬘に必死の形相で頼みました。

「すみません!私の妻が今、難産で苦しんでおります!どうかお助け下さい!」



"こんな大きな罪を背負っている私にそんな力があるわけがない!"と思った指鬘は、

「先生に頼んでくるので少しお待ち下さい!」

と、必死に走って、息を切らしながら仏陀の元へ駆け込みます。



「先生!今、難産で苦しんでいるご婦人がおります!
どうぞ先生のお力で助けてあげて下さい!」



指鬘の言葉を聴いた仏陀は次のように答えます。



「指鬘よ!お前は本当の私の弟子だ!
お前のその愛によって必ずそのご婦人は助けることが出来る。

その家に戻ってこう言いなさい。

『私は未だかつて生き物を殺したことはありません。
その功徳によって必ず助けられるので心配することはありません。』と。」



仏陀の思わぬ言葉を聴いた指鬘は、疑問に思ったことを尋ねます。



「先生、私は今までに何人も殺してきた殺人鬼だったのです。」

「お前が私によって生まれ変わってから、いつ生き物を殺したというのか!
お前は私の前で誓ってから生き物を殺したことは無い!
もう立派な出家者となったのだ!
躊躇するのではない!早く行くのだ、指鬘尊者!」



その言葉を聴いた指鬘は涙を流しながら駆け出して行きました。

そして、祈りが成就し、無事に男の子を産んだということです。



私は仏陀の言葉を読んで涙を流しました。

耐えがたい重荷をずっと背負ってきた指鬘。

その指鬘にも救いがあったのです。



人は誰でも変わることが出来ます。

そして、誰にでも許しの道が残されています。



あなたはこの話しを聴いてどんな感情を抱くでしょうか?

私は仏陀の愛の深さに涙を流さずにはいられません…。



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