日本の土壁研究の新たな展開 - 各種の住宅設計・構造 - 専門家プロファイル

遠野 未来
遠野未来建築事務所 代表
東京都
建築家
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日本の土壁研究の新たな展開

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土の家、土壁

 ●本日、東洋大学で大工塾に参加。自分に取って非常に有意義な会でした。

http://tonomirai.jugem.jp/?day=20111126


 というのは講師として現代の日本での土壁研究の一角を担うNPO土壁ネットワークを主宰する建築家 大西泰弘さんが香川から来られて、最新の研究の紹介をされたからです。そのわくわくする内容とは?


大工塾を主宰する建築家の丹呉明恭さん、構造家の山辺豊彦さんとの日本の木造と土壁とのやり取りもよかった。


その中での表題の意味です。左が京土、右が埼玉の荒木田土。


日本の土壁の耐力壁としての構造的な強度はこれまで土壁のつくりかた(貫の入れ方、竹小舞の掻きかた、土と藁と水の混ぜかた・・・)などの仕様で決められて来たが、いろいろ実験をしていくと 「土そのものの強度」によって決まる とわかって来た と。


そんなの当たり前、と思われるかもしれませんが、日本ではこれまでそう思われていなかった・・・と言うと驚くと思います。

日本の木造建築の中で、土壁は耐力壁としてはこれまであまり評価されていませんでした。その状況では土壁に使う土の強度が住宅全体の耐力に大きな影響を与えるという認識が、あまりなかったわけです。


そして、土の性質は土を構成する物質(粒の大きさによって粘土、シルト、砂、礫)の粒度分布のみで把握されて来た。粒の大きさだけで分類されてきました。


しかし、当然粘土は粘土でもいろいろな粘土があり、それによって粘性が異なります。大きく分けると関西に多い花崗岩系、有機質系、関東の火山灰系など。それらは結晶構造が違う。使う土の種類も考える必要がある。使う土が違ってくれば土壁の耐力が違ってくる という当然のスタートにやっとたどり着いた訳です。


これは、私が今年見て来たカッセル大学のミンケ先生とフランスのCRAterreでは当然の認識として研究が行われているのは私のブログを読んでいただいたいる方ならお分かりだと思います。(粘土の結晶の写真も掲載しましたね・・・) やっと日本の土壁研究も海外と同じ土俵で議論するスタートに立った・・・。と感慨深く感じました。


今後研究が進めば、現在土壁の一様に定められている壁倍率が、荒木田を使えば○○倍、京土なら○○倍。という、性能規定も出来るかもしれません。

いや、今そうしていかないと「土の家」が日本からなくなってしまう。大西さん方はそう危惧し、今年、日本各地の土壁に使われる土を採取して、土の性質と強度の分析を行っています。


会の最後に構造の山辺さんが言われていました。「土壁は使う土によって強度のばらつきがあるので、耐力強度が弱く設定されている。」と。

使う土の種類と耐力の関係がもっとはっきりしてくれば、日本の土の建築にとって新たな展開が生まれる・・・・ そう、わくわくした勉強会でした。


大西さん方の研究結果、楽しみに待ちましょう。

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