大韓航空はなぜ立ち直ることができたのか? - ITコンサルティング全般 - 専門家プロファイル

杉山 淳子
株式会社アイロベックス 
ITコンサルタント

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閲覧数順 2016年12月07日更新

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大韓航空はなぜ立ち直ることができたのか?

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現場を抑えたSEがすべてを制する 航空機はなぜ墜落するのか
前回に続き「天才!成功する人々の法則」の第2部第7章を紹介します。


1999年までに、悲惨な航空機事故を繰り返した大韓航空、最悪のエアラインから世界でも優良のエアラインに立ち直った理由それは、「文化的な遺産の重要性」を認めたことからでした。
これに関連してコロンビアの航空会社の恐ろしい事例が紹介されています。

1990年アビアンカ航空の052便が墜落しました。
ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港へ向かっていたアビアンカ航空の052便は、悪天候のため3回も航空交通管制に空中待機を命じられていました。
そして予定より1時間15分遅れで着陸許可が下りたとき、燃料切れで墜落したのです。

この事故の原因は、3つあるといいます。

 「出発の遅れ」
 「オートパイロットの小さな不具合」
 「3度にわたる空中待機」

事故機であるボーイング707型機は、古い型式で操縦が難しく飛ばすのに苦労するのです。
さまざまな要因が重なった結果、機長は疲れ果て、決断力が鈍り普段なら気づく何かを見落としてしまった。
その何かとは、「燃料不足になる」ということだったのです。

ケネディ国際空港のすぐ近くで墜落するまで40分も旋回飛行を続けていた間、操縦室の誰もが燃料が残り少ないことを承知していたはずです。
ところが近くのフィラデルフィア国際空港へ着陸することもできたはずなのにしなかったのです。
3度目の空中待機を指示されてはじめて管制官に「別の空港まで飛ぶ燃料がない」と告げているのです。
管制官の返答は「待機せよ」でした。

そのときどうも機長は、自分たちを管制官が他の飛行機よりも優先させて着陸させてくれると考えていたふしさえみられるのです。
しかしそれは、とんでもない誤解でした。
また、乗組員は「燃料がない」ということを再度大声で強く伝えたでしょうか。
いいえ、燃料切れの問題を伝えたのは、さらに38分後のことだったのでした。

ボイスレコーダーからもっと恐ろしいことがわかりました。
機長が副操縦士に「(燃料がない)緊急事態だと伝えろ」と言った指示に対して副操縦士は、どういう連絡を管制塔にしたと思いますか?
他の報告のついでに最後に付け加えて「こちらは燃料がなくなりかけています」と軽く伝えているだけなのです。
それも、何気ない口調だった、声に切迫感がなく管制官にとっては、「ついでの発言だ」としか思えない連絡でした。

これは「緩和された話し方」と呼ばれています。
発言の持つ真の意味合いを控え目に伝えるとか、聞こえやすくしようとする試みを指します。
私たちは、よくこういった話し方をします。

「もし可能でしたら、月曜にいただけるとありがたいのですが・・・」

機長であれば、副操縦士にものを言うときは、彼らは、明確に命令として「月曜までに納品してくれ」といった言い方をします。
しかし、副操縦士は機長に、はっきりと「命令」できるのでしょうか。
答えはNOです。

圧倒的に多数の副操縦士がその立場のせいか「示唆」と言われるもっとも柔らかい表現を選ぶことが調査でわかっています。
だから、恐ろしいことに過去の例をみれば、機長自身が操縦桿を握っているときのほうがはるかに墜落事故は起きやすいのです。
なぜなら機長が間違ったことをしたときに、副操縦士はNOと言えないのです。
人命がかかっているというのに!

ここ15年ほどの間、民間航空業界においては「表現の緩和との戦い」が重要な課題改革になってきたのでした。
アビアンカ航空機事故も、問題はここにあったのです。
ただひとこと、「無理だ。燃料がない」といった強制力をにじませたアナウンスがされればよかったのです。
しかし、管制塔とやりとりをしていたのは副操縦士だった。

権力格差指標という「その国の文化が権威を重んじ権威に敬意を払うかどうか」を示す指標があります。
権力格差が大きな国では、部下であるがために、常に相手に気を使ったものの言い方をしてしまうのです。
だから副操縦士は、部下から上司に対する話し方で管制塔と話してしまったのでした。

管制官は権力格差が小さなアメリカ人であり、彼にとって緩和された話し方は「差し迫った問題がない」という意味でした。
ここに、副操縦士がアメリカ人であれば、燃料がなくても待機している状況に大人しく我慢していなかったのではないかという国の気質の問題があります。
アメリカが権力格差は最もない国であり、コロンビアは権力格差が大きい国だったのです。

ちなみに世界で一番格差が大きな国は、ブラジルであり、2番目が韓国でした。

もうおわかりでしょう。
大韓航空がどんな改革をおこなったのか。
実は、航空英語の熟達を支援したのでした。
英語こそが航空業界の言語だというものでした。

通常、パイロットは自国の「文化的な遺産」の重みに押し付けられた役割から抜け出せない。
そこで、英語を話すことで、まったく別の遺産を持った文化と言語に参加できるきっかけを与えたのです。

優れたパイロットであるというのは本当はどういうことなのか。
文化や歴史や個人を取り巻く世界が、仕事の成功に大きな関係があるととことん理解することが一歩なのかもしれません。