正真正銘のファザコンである。父親が好きで好きでたまらない。
その父親のお兄さんが亡くなった。
父親の歴史は『貧乏のどん底』につきる。戦争で銀行に預けた預金がすべてなくなり、父親を含め6人の兄弟は着るものも食べるものもなかった。
亡くなった父親の兄は学校帰りに学校カバンを片手に、ようやく手に入れた麦をもう片手に担いで帰ったそうだ。
清めの席で父親は泣いた。「苦労をかけて可哀想だった」と。
父親のお母さん、私にとっての祖母が亡くなった時を思い出した。
祖母に父親がどれだけの孝行者であったか、私が知る限りでも、そうとうなものだ。祖母が夜に寂しいと電話をかけてくるたびに、父親は幼い私を連れて片道1時間車を運転し、祖母の話を聞きに行った。
祖母が危篤になった時、父親は祖母に必死で心臓マッサージをした。忘れられない。
それで、言った。
「こんな親不孝者はいない。沢山の患者さんを助けたって、実の親を助けられなかった」。
初めて父親の涙を見た。
桜が満開、、。
桜舞い落ちる中、叔父は天国に旅立った。
お父さん、叔父さんもおばあちゃんも幸せだったと、私は思うよ!!
みんな、いつかいなくなっちゃう。なんでいなくなっちゃうんだろう。
大事な人を失った時、その分、私達の生命の重要さが増していくのを感じる。
大事な命が消えるのを見た時、自分の傲慢さを、しみじみと感じる。
幸せじゃないか!自分!生きてるんだよ、生きてるんだ。生きてる限り、やり直せる。変われる。何でもできる。
叔父のお葬式で、叔父の遺伝子を継ぐ、四人の若い孫たちと初めて、会った。
「しのぶさん、黒歴史ないですよね?」「黒歴史?」「忘れ去りたい過去のことです!」
うわっす。若者言葉、知らないぜよ(笑)。
未来を担う若者たちへ。
『うちら、食べものある!着るものある!
叔父さんが麦担いで、 生きてくれたからだね。
命、繋いでこー!!!』
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このコラムの執筆専門家
![蘇原 しのぶ](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/ll/1324531048.jpg)
- 蘇原 しのぶ
- (東京都 / 院長 皮膚科医)
- しのぶ皮膚科 院長 院長
皮膚科医だからこそ提供できる質の高い美容医療を
皮膚科・皮膚外科歴15年。 ヒアルロン酸、ボトックス治療に造詣が深い。 オールアバウト美と健康のガイドでもあり、執筆、テレビ、ラジオ、などのメディア活動も精力的にこなしている。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会認定医。