芥川賞受賞は予言されていた?!　又吉直樹のエッセイを読む。

by Don

こんなことってあるんですね？
又吉さん本人は、この事実を覚えているのかどうか。

まずは読んでみて。


そして昨年、友達に誘われて横浜の占い師に見てもらった。
占い師は手相を見るなり
「長男だね。実家はもう離れたんだ。感受性強いね、本とか好きでしょう？」
と驚くほどズバズバと当て、さらに
「アナタの手相は『偉人』と『犯罪者』に多いの。大成功するか大失敗するかどっちかだね」
と恐ろしいことを言った。
（略）


最後に占い師は僕の手を取り
「しかし、いい手相だなぁ、何歳？」と微笑む。

二十六だと答えると占い師は僕の手を見て
「26…27…34…35あっ！」
と言って僕の手を放した。

三十五歳の僕に一体何があるのか？
（引用ここまで)


えっ？芥川賞獲ったのって35歳って載ってなかったっけ？
慌てて記事を見ると、35歳とある。
6月の生まれ。
逃した三島賞の時はまだ34歳！


これは又吉直樹著『第2図書係補佐』の中の、
一遍「中陰の花」の一節。
初出は2007年3月とあるから、今から9年前の予言。

ちなみにエッセイでは、不吉な予言のように受け取ったと暗示されている。
それにしても、文才はあるね。
取り上げた1冊の小説から想起されたでき事を自由に描いているのだが、文体を真似たり、実に上手。
読ませる。

選書の感性も、古典・名作から、
現代ものまで、独創的で素晴らしい。
短文なので読みやすいですよ。

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