道路(特に但し書き道路)

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公開日時
2011/05/03 17:35

道路と一口にいっても日本における法律では2通りあります。

道路法上の道路と建築基準法上の道路です。

道路法上の道路とは高速道・一般国道・都道府県道・市町村道の4種類です。

建築基準法上の道路は42条1項1号(道路法上にいう道路)

42条1項2号(都市計画法・土地区画整理法等に基づいて作られた道路:俗に開発道路)

42条1項3号(建築基準法施行時に既にあった道路で現に一般の通行の用に供している道路:俗に法以前道路又は既存道路)

42条1項4号(都市計画道路等で2年以内に事業が執行される予定として特定行政庁が指定した道路:俗に計画道路)

42条1項5号(道路の位置指定をうけたもの:位置指定道路)

以上はすべて幅員4m以上です。

42条2項道路(幅員4m未満の公道及び私道)

上記に該当しない道路を申請毎に許可が必要な道路として43条但し書き適用で許可を得る必要があります。

道路法と建築基準法とはその目的が異なるものであり、直接リンクするものではありません。

一般的に見解が問われるのが、つまり資産価値に直接影響してくるのが、42条2項道路のセットバック幅であるとか42条2項に指定されるかどうかと43条但し書きが適用出来るか否かです。

今日はこの43条但し書きに絞って説明します。

そもそも建築基準法の目的は何でしょうか?国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めたものであります。

そして建築基準法は主に個々の建築物や敷地についての必要最低限な構造等が規定されているいわゆる単体規定と都市計画法と連動して建築物が健全な都市環境の一要素として機能すための規定であるいわゆる集団規定とに分かれています。

この単体規定と集団規定の要にあるものが接道義務といわれるもので、建築基準法で認定された道路でないと建築が許可されないのです。

ここで建築基準法上の道路は原則幅員4m以上かというと上記の法の主旨である、国民の生命・健康・財産の保護の観点から例えば消防車や救急車が非常時に通れるかという観点も踏まえてそうしているのです。

余談ですが、市町村によっては原則幅員は6mという自治体もあります。首都圏では越谷市がそうです。

43条但し書きに戻りますと、43条にはこう書いてあります。

「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。

ただし、その敷地の周囲に広い空き地を有する建築物その他の建設省令で定める基準に

適合する建築物で

特定行政庁が交通上、安全上、防災上、衛生上支障がないと認めて

建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りではない」 

平成10年6月まではこの許可は建築主事がしていたのですが、それ以降は建築審査会が許可をするようになり、それまで比較的個人の裁量で今調査すると首をかしげるようなものも許可されていたものが、許可基準が明確化、厳格化したといえると思います。

具体的な許可不許可の運用は自治体の許可運用基準と省令で定められている基準と相互に関連し、建築審査会が審査しています。

ちなみに省令で定められている事項は

1;その敷地の周囲に公園・緑地・広場等広い空き地を有すること

2;その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員4m以上のものに限る)に2m以上接すること

3;その敷地が、その建築物の用途・規模・位置・及び構造に応じ。避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する道路であって、道路に通ずるものに有効に接すること

の3項目です。

各自治体で運用基準は異なっており、比較的但し書き道路が多い市川市を例にすると基本的には2項道路で認定したいのですが、それでも認定出来ないときは位置指定道路として築造できないかと模索し

例外的に但し書き適用を考えるとなっています。

市川市の運用許可基準では上記の省令に加えて道路管理者との協議書及び道に関する協定書が必要です。

少なくとも自分の土地から建築基準法上の道路に引き込むまでの但し書き適用しようとする通路に面する所有者の同意を取り付けた協定書を提出しなければ、許可は下りないので、通常の道路よりはリスクが高いとは言えるでしょう。

但し書き道路は、私の経験からいうと舗装していないケースが多いですね。

金融機関の評価も渋くなりがちですね。

逆に、リスクの度合いを判断出来れば良い買い物が出来る可能性も高いとも言えるかもしれません。

数年前の一地点だけの経験ですが、43条但し書きについて、

横須賀市は物分かりの良い自治体だった記憶があります。

私見ですが、幅員4m以上ないと建築基準法の主旨からして多人数の合同協議である建築審査会の許可は下りないですね。

お役に立てればうれしいです。

このコラムの執筆専門家

竹内 敬雄(不動産コンサルタント)

IAC総合不動産鑑定 不動産鑑定士

不動産コンサルで一隅を照らしたい

不動産鑑定を手段として人の幸せを実現するための器や手段として不動産を活かしたい。これがすべてです。そのために法律や税金等を専門家と提携し、ワンストップで総合的に解決していきます。何より優先されるべきは、お客様の幸せの実現であります。

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