小日向 るり子(心理カウンセラー)- コラム「診断基準 ~境界性パーソナリティ障害 その1~」 - 専門家プロファイル

小日向 るり子
感情を否定せず、まず寄り添うこと、を理念としています。

小日向 るり子

コヒナタ ルリコ
( 東京都 / 心理カウンセラー )
フィールマインド 代表カウンセラー
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診断基準 ~境界性パーソナリティ障害 その1~

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境界性パーソナリティ障害 2013-05-12 02:15

さて、序章では「境界性パーソナリティ障害」は
面倒くさい人、かまってちゃん、などとざっくりとご説明しましたが、現代日本の精神科領域では、アメリカ精神医学会で定義している精神疾患の分類と診断のマニュアルと基準が書かれた
「DSM -精神障害の分類と診断の手引き-」

をもとに診療が行われているのが一般的です。
最新は「DSM-IV-TR [2000年]」で、改定ごとに各診断のディスカッションが
行われており、症状の概念や名称は都度見直されています。
※ちなみにDSMとはThe Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略です。

いきなり難しい言葉から入りましたが、とりあえず、この診断基準を見てみましょう。
1つの項目を理解するのに数十秒考えなければならないので、頭をクリアにしてから
集中して読んでくださいね。


【境界性パーソナリティ障害の診断基準】

対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)現実に、または想像力の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力
注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと

(2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式

(3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感

(4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)

(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し

(6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2~3時間持続し、2~3日持続することはまれな、エピソード的起こる強い深い気分、いらだたしさ、または不安)

(7)慢性的な空虚感

(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)

(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状

いかがですか?これが診断の基準となっているものです。
ただ、たとえば(6)の感情不安定性は 「うつ病」 と診断されることもありますし、実際に他の精神疾患と重なっていることも多いです。
また、(8)の怒りの制御の困難も、それが「障害」のレベルなのか、それとも単に「気が短い人」なのか、そういった見極めも必要になります。
(9)も妄想だけにとらわれると、統合失調症を疑うことになります。

また、 「境界性パーソナリティ障害」 の薬というものは存在しません。
その障害によって現れる個々の症状に合わせて、抗うつ剤であったり気分安定薬であったり睡眠導入剤が処方されます。

しかしこの診断基準、一見難しく見えますが、きちんと読んでいくと、あてはまる方や周りにあてはまる方の存在、思い浮かびませんか?

次回はもう少し現実レベルに落とし込んでケース事例をご紹介していきたいと思います。


 

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