磯部 茂(コピーライター)- コラム「愛の、クラウン。」 - 専門家プロファイル

磯部 茂
ひとの心に、化学反応を!

磯部 茂

イソベ シゲル
( 神奈川県 / コピーライター )
有限会社ペア・ファクトリー 代表取締役
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愛の、クラウン。

- good

マーケティング 2013-01-08 06:41




トヨタが、遂にピンクのクラウンを登場させた。


TVCMを観たが、正直うーんと唸ってしまう。


ピンクのボディカラーは特別色らしいが、

この色を前面に打ち出すには、当然訳がある。


曰く、ピンクは愛の色らしい。


という訳で、クラウンが突然、愛を語り出したのだ。


このCMには、たけしとジャン・レノという大物が共演。

「愛は勝つ」という唄をモチーフに、

クラウンの新しいコンセプトを、

力技で語っているようにも思える。


キャッチフレーズは、

「権力より、愛だ」


で、ピンクのクラウンなのだ。


それが格好いいかどうか、

そしてクラウンが愛を叫ぶことに、

私のアタマはしばし混乱した。


クラウンといえば、かつては当然ように白だった。


ムカシから白いクラウンは、ある意味、

成功者の乗り物だったのだ。


中小企業の社長さんも、

サラリーマンとして順調に昇進したお父さんも、

最後の「上がり」のクルマとして、

みな白いクラウンを選んだ。


その頃のクラウンのキャッチフレーズは、


「いつかはクラウン」


頑張って努力して、いつの日にか

クラウンに乗れるような人間になりたい…

そういう意味合いが、

「いつかは、クラウン」というコピーに込められていた。


また、

クラウンは成功の証としてのシンボルだけでなく、

日本の代表する高級車であり、

気品と風格も兼ね備えているという点で、

右に並ぶクルマはそうそうなかった時代もあった。


ライバルとして日産セドリックが挙げられるが、

ブランド力として、クラウンの方に軍配は上がった。


これらの評価は、クルマの性能ではなく、

やはり広告によるイメージの力が担っていた、

ように思えるのだが…


そして、

クラウンは今更ながら、権力を捨てた。


権力はレクサスにバトンタッチしたのかな?

はたまたとうの昔に、ベンツに奪われていたのか。


今頃になって愛に気づいたクラウンは、

まずピンクのボディカラーで、

出直す事を決意したのだ。


で、愛はピンクなのかどうか私はよく分からないが、

急にそんな事言われても困りますと、

かつて置いてけぼりを食わされた家族とか恋人からは、

かなり責められそうな気がするクラウンの、

今回の方向転換。


人に例えると、

そんなこといまごろになって言っても遅いわよと、

そっぽを向かれるのが関の山のような…


調子いいゾ!


しかし、

「生まれ変わるためだよ」とたけしが真剣に語る表情に、

トヨタの必死さがみえるのは、私だけか。


ちょっと様子をみようと思う。














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