堀江 健一

仕事などは順調だったのですが、大学も職場も理系のせいもあって、女性と接点が無く、たまにいる少数の女子も意地悪と言うか私をバカにするような目で見る様な人が多く、いい歳になっても恋愛は1度しかしたことがありませんでした。
その1度でさえ、理由も良くわからないまま短期間で相手が去ってしまう様な結末で（今思うと少しメンタルに問題があった女性でした）、もう自分は一生恋愛とか結婚とかすることは無いのかもと悲観的なことばかり考えてしまい、このままでは「孤独死」する羽目になってしまうと思い相談させてもらいました。
ほんと孤独死が怖かったんです。すごい先の話なんでしょうけど。
何か具体的な打開策のアドバイスがあればと思って行ったのですが、実際口から出るのは過去の嫌な思い出とか、女性への恨み事とか悲観的な気持ちとかそんなことばかりでした。
街でカップルを見ると、自分でも驚くほどの「お前ら死ね！」位の毒を吐きたくなるのですが、先生は辛抱強く話を聞いてくれ、当然の事の様に受け止めてくれました。
そして励ましてくれたりもして、話を聞いてもらうだけでも楽になる感じはしましたが、段々同じ様な愚痴ばかり言う自分を情けなく感じたり、聞いてもらう先生にも申し訳ない様な気持ちもしてきました。
進歩しない、変化も無い。カウンセリングに効果なんてあるんだろうか？とも思いました。
でも本当に恋愛したいし、結婚もしたいと願っていたので通ってみたのです。
しかし、そんなカウンセリングが数回続いた頃、何か自分の中の毒気みたいなものが抜けて来たのか、少し前向きな自分や冷静な自分がいる事に気が付いたのです。
細かい出来ごと一つ一つに意見を言ってくれたり、分析してくれたりして、そのせいなのか自分を客観的に見れるようになったのかなと思います。
自分には相当偏った女性像や、歪んだ自己イメージがあることが理解出来てきました。
現実の女性の考え方を知る為に、先生の奥さんと話をする機会を作ってくれたりもしてくれました。奥さんはカウンセラーではないのですが、女性のすべてが私の思っていた様な「イケメン重視」の価値観ばかりの人では無いのだと実感出来たり、自分の男として、人間としての価値なども正当に思えるようになって行けたのです。
それまでは恋愛マニュアル本など読み漁ったり体を鍛えたりして、背伸びしようと自分を「いい男」に改造することばかり考えていたのですが、もっと自然体な自分でも良い様に思えても来ました。
今まで自信が無くて断っていた親戚からのお見合い話も具体的に会ってみようと思えるようになり、実際会ってみるととても優しくてしっかりと自分の考えを持っている女性で、そんな女性と実際会ってみると、今までの女性への嫌悪感や恐怖は何だったんだろうとさえ思います。
交際は順調に進んでいます。
ありがとうござました。