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『労災申請「心の病」2割増』の記事について
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本日(2010年6月15日)の日経新聞にて、『労災申請「心の病」2割増』という記事が載っていました。
その内容は、過労が原因でうつ病などの精神障害を発症し、2009年度に労災申請した人が、前年度比22.5%増加し、初めて1千人を超え、過去最多を記録したというもの。
これは、1999年に労災認定の判断指針である「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」が公表されてから、急激に増加(一直線上に増加)しています。また、この判断指針は2009年4月に「職場における心理的負荷評価表」に新たな出来事の追加などの見直しが行われました。その中で、特筆すべき出来事として「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」というものが、強度3に追加になりました。
これは、近年問題となっている上司によるパワハラなどが当てはまり、今まで以上に企業では安全配慮義務上注意しなければならない要件になっています。
そのためには、何をする必要があるのか。社員を集めて「パワハラはよくない」というだけで防止できるのか、Webでの数分の教育や冊子を渡すだけで防止できるのか。結論から言って、単発で行う思いつきレベルでは防げません。何も効果が出ません。
最低限、
(1)経営トップによる明確な方針。
(2)社員を大切にする職場風土の醸成をスタートさせる。
(3)管理者に対しての安全配慮義務、及びパワハラについての研修の実施。
・安全配慮義務を明確に理解させる。
・パワハラのケースを伝えて、自分ごととして考えさせる。
・パワハラによって、相手の人生を狂わす事に思いを馳せさせる。
・「絶対に自分はしないし、他者が行うことも許さない」気持ちを醸成させる。
・部下に対して、大切にしたい気持ちを養わせる内容も合わせて行う。
(4)管理者より、部下全員に対して行動上の注意点を伝える。
・自部門内では許さないと宣言する
・自らしない事も宣言する(率先垂範しなければならない状況を作り出す)
(5)パワハラが発覚した場合は、適正な調査を行い、内容によって厳罰に処分する。
(6)全社員にを(5)の内容を伝える。
最低限の防ぐための施策を挙げましたが、これを継続するからこそ、防いでいけることになります。管理者が、本気になって「自分はやらない」と決意させるだけの研修の実施が明暗を分けると思います。