吉本 彰夫
ヨシモト アキオグループ
歯周病は感染症です。歯周病治療(その2)
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歯周病は感染症です。
感染に対する対策を行なわなければ治りません。
歯周病は糖尿病と同じ、一生のお付き合い
さらに、何をもって歯周病が治った、とするか?
ここが歯周病治療の大事な目標です。
例えば内科に行けば、風邪薬を飲み、養生をしていればある程度は治りますよね?
で、症状が治まれば五体満足「風邪は治った」となります。
しかし、歯科は違います。
外科と同じで「いい所も含めて歯の周囲一層を削って悪いところを除去する」
ということが治療の主体になります。
この感染症、歯周病の場合、一度溶けてしまった骨は元には戻りません。
どんどん歯を支えている骨が溶けてなくなっていく一方です。
ですので、治療の目標は、「治る」ではなく「元に戻る」でもなく、
また、「進行を止める」でもなく、「進行を遅らせる」ということ、
これが歯周病治療の最終目標です。
こんなに頑張ったのに、こんなに歯医者に通ったのに・・・。
でも治りません。
ある程度骨を再生する別の治療はありますが、基本的には
その進行するのを遅らせるということが治療の第一の目的です。
大事なことは歯の寿命を人間の体の寿命よりも長く、
または同等程度にしてやることができれば死ぬまで十分に快適な生活を送ることができるのです。
そういったお口の中の状況を整えてから次に、
再生治療(インプラント、GTR、GBR、エムドゲイン等)を行うのです。
もし、歯周病治療をせず、お口の中にばい菌がウヨウヨいる状態で再生治療を行ったとしたら
どうなると思われますか?
「せっかく入れたインプラントがすぐに駄目になった」という原因はこんなところにも潜んでいるのです。
今の何もしない状態だと、骨がどんどん溶けて歯がなくなってしまう、そのなくなるスピードを遅らせることがとても大事なのです。
治療の目標なのです。
歯周病は「治る」ことはない。
歯周病においては「治った」という表現はしません。
糖尿病と同じで、一度かかると一生のお付き合い、
ということになります。
悪化するのを少しでも遅らせて現状を維持する。
これが目標なのです。
口の中にある重症なバイキンたち、これを極力除去してやる。
ばい菌をこれ以上増やさない、これがとても大事です。
では、歯周病治療の目標である「進行を遅らせる」
状態になった時はどうなるのか?
と申しますと、ご自分の歯を残しやすくなります。
歯を失う時期を遅らせることができるのです。
確実なメインテナンスを行なっていけば、高齢になっても
十分ご自分の歯を維持することができます。
この確実なメインテナンスが、
「歯周病にならないためにどうするのか?」に繋がってまいります。
また歯周病は年齢には関係ありません。
20代でも重度の歯周病の患者さんはたくさんいらっしゃいますし、
80代でも歯周病になっていない患者さまもいらっしゃいます。
歯のメインテナンスをご自分の人生の中にしっかりと
組み込んでこられた方と、そうでない方の違いです。
まだまだ地方には「定期的に歯の予防のためのメインテナンスを行なう」という意識の方は少数でしたが、ここ2~3年で明らかに人の意識は変化しつつあります。
「虫歯や歯周病にならないために月に一回必ず通いたい」
「自由診療なので費用はかかるけれど必要なことだ」
という方が増え始めてきました。
これは本当に嬉しいことです。
歯に対する意識が高い方は総じてご自身のお体に対しての意識も
高い方が多く、ご自分で健康管理をきっちりされていらっしゃる方です。
歯周病は、歯周病になった原因を確実に突き止め
原因に沿った対策をする必要があるのです。