高原 誠
タカハラ マコトグループ
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民法、相続ルールの大規模改正へ(3)
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介護による貢献、相続への影響は?
引き続き、民法(相続法)の改正が検討されている項目を見ていきます。
③寄与分制度の見直し
特定の相続人が亡くなった方に特別の貢献をしていた場合、遺産分割において「寄与分」が認められる定めが民法にあります。寄与分が認められるには、亡くなった方の「財産の維持または増加」に対し「特別の寄与」があったことが条件となります。
亡くなった方(親)への貢献というと、療養看護が代表的なものですが、子による介護は扶養義務として行うのであって「財産の維持または増加」への寄与とは認められないのが一般的です。また、扶養義務は本来子どもが平等に負うべきものですが、実際は、子が複数いたとしても介護を行ったのは一部の人のみであることが多く、介護負担の偏りが問題視されています。
そこで、「財産の維持または増加」に限らず、介護による寄与分を認めようというのがこの検討項目です。これに伴い、寄与分の算定基準をどう捉えるかといった課題もあります。
“内助の功”と同様に、介護や扶養義務はなんといっても貨幣金額的に表しにくく、このことが問題を難しくしています。私たちが昨年、お客様を対象に行った介護と相続に関するアンケートによると、介護の金銭的負担に加え時間的・精神的負担は筆舌に尽くしがたく、またその苦労は他の相続人に理解されにくい、というコメントが多数寄せられました。
また寄与分が認められるのは相続人のみに限定されるため、相続人ではない「長男の嫁」などが介護を担っていた場合には、その貢献が考慮されないことも依然、問題としてあります。「扶養義務と相続権」、これこそがこの問題の主戦場でしょう。
私の考えですが…
以下は私の考えです。
・扶養義務違反について罰則(相続権の剥奪や制限など)を設ける…?
ただ、やむを得ない事情により外国で暮らしているなど、扶養義務を果たしたくても果たせない状況にある人についてはどうする…?
・扶養義務を果たす人を生前に届け出れば相続分の増額(相続権の付与)を認める…?
しかし、そもそも扶養義務とはどこまでの範囲(行為)を指すのか。扶養義務の実行を監視する人や組織を設けることは現実的ではなく、しかし監視なき届出は意味がない。
難しい課題の多い民法改正の中でも、家族の形や女性の立場に直結するこの項目は、最難関のものではないでしょうか。
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