石橋 大右(住宅設備コーディネーター)- コラム「曲がる太陽光パネル、ペロブスカイト太陽電池がすごいので紹介」 - 専門家プロファイル

石橋 大右
太陽光発電とオール電化を追及するプロフェッショナル

石橋 大右

イシバシ ダイスケ
( 大阪府 / 住宅設備コーディネーター )
株式会社和上ホールディングス 代表取締役
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曲がる太陽光パネル、ペロブスカイト太陽電池がすごいので紹介

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2023-09-29 17:07

最近、一般のニュースなどで時折「曲がる太陽光パネル」「曲がる太陽電池」という文言を見聞きするようになりました。ニュースの見出しなどで見聞きして、何それ?と思った方は多いかもしれません。

この「曲がる太陽光パネル」の正体は、ペロブスカイト太陽電池と呼ばれる全く新しい太陽電池です。桐蔭横浜大学の宮坂教授が提案し、開発が進められている日本初の技術です。

このペロブスカイト太陽電池がすごいのは、何と言っても曲げられること。これまでの太陽光パネルはまっすぐの形をしていて、無理に曲げると当然割れます。それに対してペロブスカイト太陽電池は曲げても割れないので、歪むような力がかかっても壊れないという強みがあります。

そればかりか、このペロブスカイト太陽電池はとても薄く、それは人間の髪の毛以下です。髪の毛よりも薄い形状でしっかり発電ができるので、これまで設置できなかったようなところでも太陽光発電ができるようになります。軽いので壁や柱に張り付けたり(巻いたり)、クルマの屋根部分に取り付けるなどの利用が期待されています。

しかもこのペロブスカイト太陽電池は、「塗って乾かすだけ」というとても簡単な構造になっています。そのため製造コストが安く、これまで採算面で設置が難しかったようなところにも太陽電池を設置できるようになるでしょう。

もうひとつ、個人的にこの画期的な技術に期待していることがあります。それは製造コストの安さに加えて原材料を日本で調達しやすいことです。ペロブスカイト太陽電池の主原料はヨウ素ですが、このヨウ素は日本近海に大量に埋蔵されています。その資源量はチリに次いで世界第2位だそうです。つまり、原材料から純国産が可能なのです。

日本は長らく資源を海外に依存してきています。そのせいで何度も石油ショックが起き、今もウクライナ戦争や円安、インフレなどの要因で原油高に苦しめられています。そろそろこうした海外依存を脱却してエネルギーの国産化を積極的に推進するべきだと考えています。それには資源量に偏りのない太陽光発電が有効だと考えていますが、その太陽光パネルを製造する原料まで自給できるこのペロブスカイト太陽電池には期待しかありません。

もちろん、実用化にはまだまだ課題があります。最もハードルが高いと言われているのが、大型化です。手で運べるような小さい太陽電池であればすでに実用化レベルなのですが、大規模な発電施設で使用するには大型化が不可欠です。しかしながらこのペロブスカイト結晶を均一化するのは難しく、今もまだ研究段階です。

それともうひとつの課題が、耐久性です。ヨウ素は安定性の低い物質で、劣化しやすい弱点があります。太陽光パネルは屋外に設置して直射日光を当て続けるため、どうしても劣化は避けられません。せっかく設置したのに頻繁に交換が必要だと、コスト面や運用面で現実的ではないでしょう。これについては代替材料への転換や保護層の開発などが進められており、今後の進展に期待したいところです。

太陽光発電の大きなブレイクスルーとなり、日本の悲願でもあるエネルギーの自給に向けて大きな可能性を秘めたペロブスカイト太陽電池。熱い視線を注ぎつつ今後の展開を見守りたいと思います。


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