石橋 大右
イシバシ ダイスケSDGsが企業の宣伝になってしまっている指摘について 前編
-
今やSDGsは世界的な取り組みであり、世界各国の政府はもちろんのこと世界中の企業がSDGsに向けて一直線という感があります。
もちろんこれは、素晴らしいことです。SDGsで謳われている17のゴールはいずれも今の地球や人類が持続可能なものとなるための目標ばかりなので、これらがすべて達成される時代が来るのを私も心から願っています。しかし最近、このSDGsについてどうも本末転倒というか本来の主旨と反するのではないかと思うようなことがあるので、そこに言及したいと思います。
SDGsと同一線上にある流れとして、ESG投資やエシカル消費などがあります。いずれも持続可能で環境や社会などに良いとされることをしている企業を選んで投資をしたり、製品を購入するという考え方です。今後、環境や社会などに貢献できない企業には投資が集まらず、製品も買ってはくれないということです。まさにSDGsの達成に向けて、具体的な取り組みだと思います。
こうした流れの中、最近多くの企業がホームページなどで「SDGsへの取り組み」という主旨のページを設けています。そこには企業のさまざまな取り組みがありますが、これに対して「企業の宣伝手段となってしまっている」と指摘する声があります。
SDGsが目指す未来に賛同し、自社でも取り組んでいますというページが当初は多かったのですが、今ではESG投資の時代が来るとSDGsに取り組んでいないと選ばれないことに危機感を感じ、リスクを回避するために掲出しているページが多いというのは、私も感じていることでした。
これはSDGs自体が漠然とした概念なので仕方ないのですが、17ある目標はどれも具体的な取り組みが書かれているわけではなく、コンセプトのようなものが記されているだけです。
例えばSDGsの1番である「貧困をなくそう」というのは、どこにある貧困をなくそうと言っているのかは明確ではありません。貧困にあえぐ国に支援をしようと言っているのか、もしくは自国の貧しい人に施しをしてあげようと言っているのかは、それぞれの解釈次第です。
どこかの企業のサイトに「ペットボトルキャップを集めて寄付している」というものがありましたが、これが1番の「貧困をなくそう」と11番の「住み続けられるまちづくりを」、12番の「つくる責任、つかう責任」、さらには13番の「気候変動に具体的な対策を」、14番「海の豊かさを守ろう」に合致するものだと説明されていました。ペットボトルキャップを集めて適切に廃棄することは、今や常識です。それは環境保護や資源の有効利用などに資することで以前から普通に取り組んできたことです。
それをやっているというだけで、これだけ多くのSDGsに合致している取り組みです!と声高に喧伝している様子を見ると、確かにSDGsが単なる宣伝になってしまっている感は否めません。
(後編に続く)