石橋 大右
イシバシ ダイスケ浜松市に見る、電力地産地消の可能性
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現在地産地消に取り組んでいる地方自治体はいくつもありますが、そのひとつに静岡県の政令指定都市である浜松市があります。
直近の2016年(平成28年)6月~7月に横浜で、浜松市の太陽光発電の総合展示会が「PVJapan2016」として開催されました。
この展示会では「浜松版スマートシティ」の実現へ向けての取り組みをはじめ、官民連携での電力小売事業である「浜松新電力」の取り組みなどが紹介されました。
浜松市がエネルギーへの取り組みを強化し始めたきっかけは東日本大震災とのことで、自動車をはじめとするモノづくり産業が大きな比率を占める浜松市では電力の供給が遮断されると大きなダメージがあると考えた結論が、電力の地産地消とのことです。
自治体の役所は基本的には縦割り構造ですから、再生可能エネルギーについて、太陽光発電と風力発電はもとより、バイオマスや水力・火力発電は異なる部署の管轄でした。
それを市長がトップダウンで横断組織の新エネルギー推進事業本部を設立しています。
現在は現エネルギー政策課ですが、グランドデザインの「浜松市エネルギービジョン」が策定されています。
このビジョンでは浜松版スマートシティの実現を目標として、自律分散型電源の導入や省エネの推進およびスマートコミュニティの構築を進めるとしています。
ちなみに浜松市は年間500万MWhの電力を消費しているとのことで、一方再生可能エネルギーのポテンシャルは年間で太陽光発電が119万MWhで、風力発電、バイオマス発電、水力発電と合わせると合計273万MWhだそうです。
なお、天竜川の水力発電量を加えると、浜松市は電気エネルギーの自給自足が可能という計算になります。
すなわち、2011年度に4.3%の電力自給率は2015年度末には10.0%になり、2030年度には20.3%を目指す構想で、ここに大・中規模水力発電を加えると2015年度末には自給率は56.6%になるそうです。
なお、浜松市は、そのエネルギービジョンに「太陽光発電導入日本一」を掲げて取り組みを進めています。
具体的には住宅向け太陽光発電での発電量は合計55MWで、出力平均4.7kWを実現したほか、市の遊休地を活用した太陽光発電事業と学校の屋根貸し太陽光発電事業などを実施しています。
加えて浜松市では太陽光発電設置に関する規制緩和なども実施し、浜松市ソーラーセンターを設置するなど太陽光発電の普及を支援しています。
浜松市内には1000kW以上のメガソーラーが36カ所もあり、10kW以上のミニソーラーの導入件数は2014年度で3463件と全国の市町村ではトップとのことです。