石橋 大右
イシバシ ダイスケシャープ買収後の太陽光発電市場を俯瞰してみると
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太陽光発電のパイオニア的企業であり、長らくトップシェアを走って来たシャープが外資系企業に吸収されたことは、太陽光発電に関係する者としては衝撃的な出来事でした。
シャープの業績低迷は太陽光発電関連が原因ではないにしても、目を転じると現時点で国内の太陽光市場は縮小傾向にあると言われています。
これは分かっていたことですが、今や太陽光発電関連事業はパネルだけでは儲からないようです。
某有名経済研究所がこのたび国内の太陽光パネルの市場推移に関する調査結果を発表しました。
この発表によりますと、国内では太陽光パネルの価格下落が顕著で、太陽光発電メーカーは、今までの太陽光パネルの販売だけではなく、太陽光発電の運用保守や蓄電池と組み合わせたシステム販売など、付加価値サービスの展開の必要性に直面しています。
ちなみに、この調査発表によりますと、2015年の太陽光パネルの世界の市場規模をパネル供給量で見ると前年比25.4%増の54.5GWと予測しています。
つまり太陽光パネルの供給量は増加するのですが、その一方で、パネルの価格は急落傾向にあります。
したがって、販売金額ベースでの世界市場規模の伸び率は前年比11.2%増にとどまると予測しています。
日本の国内市場は2015年度ベース(4~3月)では2014年度は容量ベースで9700MWとなり、2015年度は前年度比1.2%減の9582MWに減少になると予測しています。
ちなみにパネル供給量の減少要因としては、再生可能エネルギーのFIT買い取り価格の見直しや、出力制御の動きが加速している点があげられています。
こうなると、シャープ以外の太陽光発電メーカーの台所は苦しいと推察せざるを得ません。
すなわち国内の太陽光発電メーカーは新たなビジネスコンセプトを必要とする局面にあると考えられます。
太陽光発電関連にたずさわる者として、確かに太陽光パネルの価格低下はエンドユーザーには好ましく、太陽光発電システム設置の動きを加速させる要因ではあります。
しかし、心配なのは太陽光パネルの価格下落が太陽光発電メーカーの存続・発展を阻害しかねないことで、そうなると元も子もなくなります。
願わくは第二、第三のシャープが出ないことと、健全な市場経済に足をつけた太陽光発電メーカーも健全な発展と同時に、さらなる太陽光発電事業の個人ベースと商業ベースでも進展です。
そのためには個人の太陽光発電の重要性に関する意識の促進も大切ですが、太陽光発電の必要性に関する行政ベースでの適切な理解がより重要になるのではないでしょうか。