石橋 大右
イシバシ ダイスケ注目の環境ビジネス投資、ソーラーシェアリング
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お金を増やしたいという気持ちは、誰もが持つ普遍的な欲求です。これは全く不思議なことでも、不純なことでもありません。
そのために投資家は株を買ったり、投資信託を買ったりもしますが、もしある程度広い農地などを所有していればその土地を有効に利用することで、投資信託よりも確実にお金を増やすことができそうです。
そのひとつの例をここでご紹介します。
佐賀県と福岡県の県境にある山間部に三瀬村(みつせむら)があり、ここではソーラーシェアリングの実証プロジェクトが本番を迎えています。田植えは5月上旬に始まる予定ですが、それ以前に3月末に水田の上に設置した58枚の太陽光パネルが発電を開始しました。このソーラーシェアリングプロジェクトの最大の特徴は、太陽光パネルを設置する架台にあります。
水田の両端に立てた2本のタワーをワイヤーでつなぎ、その上に架台を設けて太陽光パネルを並べる方法で、強風を受けても大丈夫なように、太陽光パネルの位置は水面の2メートル程度に保たれています。稲の高さは伸びても1メートル以下ですし、農作業に必要なトラクターや田植え機が架台の下を通れるように高さの調節が可能です。
三瀬村では稲の刈取には高さが2.7メートルの大型のコンバインを使うので、その時には架台は3メートルまで引き上げられます。このように太陽光パネルの架台を上下に移動できる営農型の太陽光発電は日本で初めての試みだとのことです。ちなみに、農地の面積は約2000平方メートルで、全体を3つの区画に分けて、2つの区画で太陽光発電を実施し、残る1つの区画では稲作だけにして、収穫量や品質の違いを比較するそうです。なお、使用される太陽光パネルは出力が250Wタイプで、各パネルの間隔は1.8メートルになるように架台を組んでいます。
この実証事業はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が農地や傾斜地などを対象に、太陽光発電の可能性を検証する目的で実施するものです。なお、発電設備の企画や設計は福岡県の民間建築研究所が担当していて、検証するテーマは、架台の耐久性、発電コスト、稲の生育に対する影響の3点です。
発電コストは1kWhあたり22~24円が目標で、稲の収穫は、太陽光パネルを設置しない区画と比べて収穫量を80%以上に維持することが、このような営農型ソーラーシェアリングシステムの条件になります。
これは検証実験のレベルですが、この結果が良ければ、水田での太陽光発電が当たり前になる時代が来ることが予測されます。