石橋 大右
イシバシ ダイスケタマネギと太陽光発電は相性が良い?
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太陽の光は、平等に地上に降り注がれています。
ただし、それを受け止める地上の条件は平等というわけにはいきませんから、太陽光発電の効率が悪くなったりもします。
農業の視点で見ると、陽当たりが比較的良好な畑となると、太陽光は十分に土地に太陽エネルギーを注いでくれますから、畑の野菜は順調に育ちます。
なるほど、植物がよく育つということは太陽光が十分にあるのだろうということで、この畑を間借りして電気も生産しようというのが、ソーラーシェアリングという考え方です。
タマネギ畑で太陽光発電を、とこのシステムを実現したのが、タマネギの名産地である兵庫県・淡路島で、洲本市五色町に田畑に太陽光パネルを設置して、農作物を育てながら発電する「ソーラーシェアリング」の仕組みができました。
ソーラーシェアリングは、東日本大震災後、注目を集めていますが、農林水産省は2013年に、それまで原則転用が禁止されていた優良農地での太陽光発電設置を認めるようになり、兵庫県内ではこの2月末現在で10件の取り組みがあります。
そのひとつは、タマネギ畑で面積は約450平方メートルです。タマネギ畑にソーラーシェアリングを導入した理由は、農家の高齢化で、体力的に農作業がつらくなったからだとのことです。そこで、売電ができる太陽光発電を採り入れた次第ですが、具体的には、畑に約3.5メートルの支柱を立て、その上に渡したパイプに、縦約40センチ、横約130センチの太陽光パネル264枚を設置しました。パネルのすき間から日光が差し込むので、タマネギの生育に大きな影響はないそうです。設置した太陽光発電システムは毎時約24キロワットの電気を生産していますから、年間の売電収入は83万円を見込んでいて、設置費用の約900万円は10年余りで初期投資を回収できる計算です。しかも、その間、タマネギづくりは続けることができますから、10年が経過した後は、この畑はタマネギの収入と太陽光発電の売電の収入が期待できます。
なお、ここではタマネギを例にしましたが、ソーラーシェアリングは畑だけに限らず、水面が穏やかであれば、ため池や大きな池でも可能ですから、これからは、このシステムは全国中に当たり前に見ることができるようになる可能性が大です。
太陽光という莫大なエネルギーを必要な分だけ分け合って利用するというソーラーシェアリング、これからのトレンドになりそうな気配です。