田中 紳詞(経営コンサルタント/ITコンサルタント)- コラム「クラウドの良いところ、悪いところ」 - 専門家プロファイル

田中 紳詞
業務システムからモバイルまで、IT業界の無差別格闘家

田中 紳詞

タナカ シンジ
( 東京都 / 経営コンサルタント/ITコンサルタント )
株式会社Exciter 代表取締役/主席コンサルタント
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クラウドの良いところ、悪いところ

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IT全般 2013-09-21 00:04
前回はクラウドの概要について触れましたが、今回は具体的に良いところと悪いところ、利用上の注意について触れたいと思います。

クラウドの良いところ、メリット

長所は、なんといっても自前(オンプレミス)で用意するパターンと比べて初期投資が格段に安いところです。

自前の場合はどうしてもまとまった構築費用がかかったり、全社員分を調達すると一度に多額の現金が出ていってしますが、クラウドのサービスは殆どが月額いくら或いは月ごとの従量課金であるため、キャッシュアウトを抑えることができるというのも大きなメリットです。

特に中小企業においては、百万円単位のお金が出ていくか出ていかないかというのは、大きなことです。

また、必要に応じて必要なタイミングごとにユーザアカウントを増やしたり減らしたり、増強したり縮小したり、スケーラビリティという要素も大きなポイントです。
自前だと、なかなか「ちょっとサーバをもう一台」というわけにはいきません。

個人的に思うのは、初期投資が少なくて済むことの二次的なメリットとして、システムの切り替えに躊躇が生まれないということです。

どういうことかというと、システムの導入や構築が良いものでなかったとしても、「大枚はたいて導入したんだから」「あんなにお金をかけたのに、すぐには捨てられない」的な思考がはたらくと、老朽化していようが陳腐化していようが、なかなか次のシステムの導入話にならないものです。

初期投資が少ないことは、こういった心理的抵抗を無くすという作用もあるのです。

クラウドの悪いところ、デメリット

クラウドの悪いところは、良いところの裏返しでもあるのですが、トータルコストが割高になるケースも多いことです。

前回のコラムではレンタカーと自家用車の例えで触れましたが、その頻度や期間によっては、自前の方が安く済むことは少なくありません。

特に年単位で考えた時、自前の方がコストを抑えられることも多いでしょう。

まぁ、これは自前だと「数年使わなければならない」というリスクを負い、クラウドはそのリスクを負わないため、性質の差として仕方がないことではありますが。

また、これは特にSaaSにおいての話ですが、殆どのサービスでは、利用者全てが同じサービスを使うことが前提で、数をさばくことで業者は利益を生み出します。

これを言い替えると、各利用者ごとの設定や機能というのは利用プランの違いを除いて殆どなく、皆が皆、同じ機能を使うということです。

つまり、客がワガママを言えない、独自色が出しづらい、そもそもカスタマイズできないことが多い、という傾向があります。

皆が皆同じ機能を使うということは、万人向けに仕上がっているというわけですが、逆に言えば万人向けの機能がぴったりフィットするわけがありません。
その上カスタマイズできないわけなので、帯に短しタスキに長し的なことにもなり得ます。

その代り安いんだから文句言わないでね、というところでしょうか。

利用するにあたっての注意点

まず、第一に考えるべきなのは、「可搬性」という要素です。

要はデータの持ち運びやすさのことなのですが、いま現在Excelファイルや旧システムにあるデータをクラウドに移したり、クラウドから別のクラウドサービス業者や自前にするという時に、どれだけ容易にデータを持ち運ぶことができるかというのは、非常に重要です。

特に、今現在使用している或いは使用する予定のクラウドサービス業者の元からデータを持ち出せない、特定のファイル形式でないと持ち出せない、容量や件数を限定してしか持ち出せない等の制約がある場合、そのサービスを使うことを止めたくなっても、どうにもなりません。

次に、利用規約や金額を含む利用条件の永続性は保証されないということです。
これは気にしても仕方がないという人もいますが、せめて認識はしておいてください。

取扱いできる容量が下がった、繋がりづらくなった、利用料金が高く改訂された、無料から有料になった etc・・・

クラウドサービス業者もビジネスですから、時流の変化などにより採算が合わなくなれば、それまでの利用者側から見た好条件は保証されません。

こういったケースでは別のサービスを使うことも検討するかと思いますが、その際、少し戻って上記の「可搬性」という要素がどれだけ重要であるかご理解頂けるかと思います。

長くなりましたので、この辺で。
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