成澤 利幸(音楽家、打楽器奏者)- コラム「最近の演奏会から(4) 第16回サンテラスロビーコンサート」 - 専門家プロファイル

成澤 利幸
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ナルサワ トシユキ
( 長野県 / 音楽家、打楽器奏者 )
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最近の演奏会から(4) 第16回サンテラスロビーコンサート

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2012-04-07 22:04

 東御市文化会館(長野県東御市)が主催するこのコンサートも今回で16回目を迎えました。今回は上田市在住のピアノ奏者、西澤真理子さんが「北欧からの便り」と銘打ってグリーグの「叙情小曲集」の中から12曲を演奏されました。

 

 グリーグ(1843年~1907年)はノルウェーの作曲家で、音楽史の中では国民楽派にあたります。国民楽派というとロシアのボロディンやムソルグスキーのように個性が強いという印象ですがグリーグの作風は洗練された感があり、特に今回演奏された叙情小曲集はロマン派の流れを汲む位置にあるといっていいでしょう。この他にグリーグの代表曲としては「『ペール・ギュント』組曲」やティンパニのロールから始まる「ピアノ協奏曲 イ短調」があります。

アンコールでラフマニノフの前奏曲集から「鐘」を演奏されたのですが使われている和音の数や種類が多く重厚で厚い響きがし、グリーグとの違いがより際立って聴くことができました。音数は少ないからといって貧弱ということではなく旋律の美しさを容易に聴き分けられることができ、いわば「シンプルで爽やかな美しさ」と言い換えられます。

 

 この日の演奏は曲毎のキャラクターが明確で、絵本を見ているような美しさを感じさせた素晴らしい演奏でした。曲間に西澤さんが作曲者やノルウェー、ご自身の留学中の様子などのお話しを丁寧にされ、その内容を反芻しながら音楽を聴けたのもこの企画ならではのことだと思いました。

 

 最近、各地のホールで独自な企画を立てた演奏会やイベントをおこなっています。ツイッターで催しもの案内をおこなっているホールもあり、行けないまでも情報を見ることだけでも楽しむことができるようになりました。ホールを自治体で運営管理していたものが指定管理者制度に移行し、利用者側からすると良いことばかりではありませんでした。ソフト面の充実を図ることにより「オンリーワンのホール」にしようとする意欲の芽吹きを感じさせるホールが多くなりました。やはり一番の財産は「人」ということなのでしょう。

   ※写真は開演5分前の会場の様子

 

 

◇第16回サンテラスロビーコンサート「北欧からの便り」◇

  主催:東御市文化会館

  日時:2012年4月7日(土) 13時30分開演

  会場:東御市文化会館ロビー

  入場料:無料

  出演:ピアノ 西澤真理子

  演奏曲:E.グリーグ作曲「叙情小曲集」より  「郷愁」「夜想曲」等

 

 

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