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最近の演奏会から(2)
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航空自衛隊中部航空音楽隊 第35回定期演奏会
さる3月9日(金)にアクトシティ浜松にて航空自衛隊中部航空音楽隊第35回定期演奏会が開かれました。開場1時間前に会場に着いたのですがすでに入場口に行列ができており、音楽隊の人気の高さをうかがい知ることができました。
第1部は吹奏楽のオリジナル曲、第2部は『「久石譲」の世界』の2部でプログラムが構成されていました。
第1部の中では委嘱作品の「山下康介作曲:ブルー・ファンタジア」が印象に残りました。委嘱に際し『航空自衛隊ならではのカラー「青」をテーマに親しみやすい作品』という要望で書かれたということで、初めて聴く曲でしたが心地よく爽やかな楽曲でした。曲調は爽やかですが演奏するのには高い技術が必要な作品だと感じ、音楽隊の能力が十二分に発揮された演奏でした。
作曲者の山下康介さんは浜松市のご出身ということで音楽隊はもちろんのこと地元浜松のお客さんにも大変喜ばれたことともいます。トロンボーン協奏曲のアンコールでは山下さんが音楽を担当された【NHK 朝の連続テレビ小説「瞳」】のメインテーマが演奏され曲席は大変盛り上がりました。
第2部は映画やテレビドラマの音楽で日本を代表する作曲家「久石譲」の作品を特集しました。「となりのトトロ」「もののけ姫」など聞き慣れた曲ではありますが吹奏楽編成で演奏するというのは大変であり、オーケストラの力量が問われるプログラムになります。この意欲的なプログラムは私は成功したと思います。
この日のプログラムの中の『Stand Alone(NHKスペシャルドラマ「坂之上の雲」テーマ曲)』『Oriental Wind(サントリー「伊右衛門」CM曲)』『Departures(映画「おくりびと」テーマ曲)』の3曲は音楽隊のサキソフォン奏者の渡部哲哉さんによる編曲でした。隊員の中にこのような優れたアレンジャーがいるというのは大きな財産です。力任せで感情的な演奏ではなく美しい音で文字通り大人の演奏による久石さんの音楽は演奏者だけでなく編曲者の力の影響も強く出たのではと感じました。
客席にご年配の方が多かったせいか、演奏中の携帯電話の着信・おしゃべり・出入りなど、マナー面で残念なことが多く見受けられたのが惜しまれました。
◆航空自衛隊中部航空音楽隊 第35回定期演奏会◆
日時:2012年3月9日(金) 19時開演
会場:アクトシティ浜松 大ホール
指揮:松井 徹生 三宅 崇生
トロンボーン独奏:倉田 寛(神奈川フィルハーモニー管弦楽団)
演奏:航空自衛隊中部航空音楽隊
プログラム:未来への扉 作曲:福島弘和
ブルー・ファンタジア (中部航空音楽隊委嘱作品) 作曲:山下康介
トロンボーンと吹奏楽のための協奏曲「カラーズ」 作曲:B.アッペルモント
Stand Alone 作曲:久石 譲/編曲:渡部哲哉
もののけ姫セレクション 作曲:久石 譲/編曲:森田一浩
Oriental Wind 作曲:久石 譲/編曲:渡部哲哉
Departures 作曲:久石 譲/編曲:渡部哲哉
となりのトトロセレクション 作曲:久石 譲/編曲:後藤 洋