美しく見えるバレエの世界の裏側に隠された人間の愛憎劇 - 文化・芸術全般 - 専門家プロファイル

舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
東京都
クラシックバレエ教師・振付家

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対象:文化・芸術

大園 エリカ
大園 エリカ
(クラシックバレエ教師・振付家)
大園 エリカ
(クラシックバレエ教師・振付家)

閲覧数順 2024年04月18日更新

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美しく見えるバレエの世界の裏側に隠された人間の愛憎劇

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今回は久し振りに、バレエにまつわるお話しをば♫

(^^✿

 

皆様は「クラシックバレエ」というと、どの様なイメージを持たれておりますか?

 

バレエに造詣の深い方であれば「高尚な芸術」、あまり深くご存知無い方達には「綺麗で華やか」「お金持ちのお嬢さんがするお稽古事」というフワフワしたイメージでしょうか?

(^^ゞ

 

 

 

一応プロのバレエの世界に生きて来た私には、バレエという芸術が廃れる事無く、今日まで発展して来たその歴史からも、クラシックバレエとは3才児が見ても「とても綺麗~☆彡」と感じられる分かり易さがある、美しく華やかな総合芸術であるという事。

 

そしてバレエダンサーには、舞台に立った時に表現力として不可欠な技術は勿論の事、絵になる様なお顔やスタイルが必須条件となり、プラス俳優・女優並みの演技力、そして一流になればなるほど知性を要求される事からも、多くの方達から憧れられる"花形職業"といったイメージを持たれる事が多いという事を理解しています。

 

それと同時に、バレエの世界でプロに成るには、心身共にとてもストイックな資質が必要とされる厳しい世界であるという事。

 

そして、これはどの様な世界でも共通する事ですが、プロになる方というのは、そういうものを「苦」とは感じない資質=自分が磨かれて成長する事に、大きな喜びを感じる資質を持っているというのが、プロになる為の必須条件=才能でもあるという事も深く理解しています。

 

なのですが、バレエを実際におやりになった事のない方達や、アマチュアの方達の中に多いのですが(※中にはプロと言われる方達の中にもいらっしゃる様に思います)、

 

バレエというものに対して「夢見る夢子さん的に、妙に美化し過ぎる」という事を感じる事も、特にこの日本では多いというのが正直な所でしょうか。

(^^;

 

 

 

ですので「バレエをやっている」という事で、何か特別意識を刺激されるのか、「私は他の人とは違う!」と自意識過剰にツンツンお高くとまる様な方達も、プロ・アマ問わず中にはいらっしゃる様ですが、

 

例えばイギリスなどの階級社会などに行きますと、バレエダンサーという職業は一番階級の低い「肉体労働者」という位置付けであったりするのはご存知でしょうか?

\(◎o◎)/!

 

 

 

 

イギリスは歴史的に階級社会であるとされる。

 

地主・貴族を中心とする上流階級実業家専門職などの中流階級、そしていわゆる労働者階級に大別されるが、個々の階級内においても上層・下層の区別が存在すると言われる。

 

王室と世襲貴族を頂点に、爵位に基づく称号と栄典上の階級が大規模に存続しているのもイギリスの大きな特徴である。歴史的には上流階級の代表者であった世襲貴族は、特権が撤廃されつつあるが、社会の様々な分野で活躍・貢献した者は一代貴族や勲爵士として叙せられ、社会的な名誉を与えられる。勲爵士の称号は国外では単なるイギリス王室から与えられた勲章に過ぎないが、イギリス国内では「Sir」の称号など、ある程度の特権を受ける事ができる。

 

一方で、イギリスにおける階級は、世襲大貴族の階級的権威が彼らがもつ広大な荘園などの世襲財産とそれに基づいた生活習慣にあったように、文化、職業、生活スタイル、そして本人と周囲による認識によって規定されるものである。従って、叙勲を受けたからといって上流階級の一員とみなされないのが普通である。さらに現在では階級は必ずしも経済力を反映してはいない現状があり、特に下層上流と上層中流、下層中流と上層労働者において、しばしば経済状態の逆転が見られる。

 

 

 

つまり「バレエダンサー」というものは、階級が高いとされる方達に取っては「私達を楽しませる為に存在する労働階級者」と捉えられていたりするという、こういうシビアな現実があったりするのですが、

 

でも故・ダイアナ妃が子供の頃にバレエを習っていた事は有名ですよね?

(^^✿

 

ヨーロッパなどでは「バレエを習うと、美しく優雅な所作が身に付く」という事で、良い家柄のお嬢さんは、社交界にデヴューする時の為に「習わされる」という事が実は多いのです。

 

それはバレエの発症が「宮廷舞踊」であり、そこから発展した「洗練された芸術」という歴史から来ているのだと思います。

(^^ゞ

 

 

 

バレエの由来ですが、それはイタリアの貴族の娘がフランスにお嫁入りした時に、そのイタリアで発展していた宮廷舞踊の様式がベルサイユ宮殿に伝わり、それを気に入ったルイ14世により、世界で初めて「王立バレエ学校」が設立されたという歴史があり、

 

そこからロシアに伝わったバレエが、芸術に造詣の深かったエカテリーナ2世の設立した「帝立バレエ学校」に繋がり、そこで現在まで続く洗練された完璧なクラシックバレエの基礎が確立され、そしてそれが今日まで続くバレエの礎となり、全世界に広がったお陰で、

 

今の私達は、洗練され尽くした「クラシックバレエ」を堪能する事ができているのです~☆彡

(*^^*) ~ ♡

 

…が、そういう華やかな歴史と共に、私達にはあまり伝えられていない陰の歴史というものも同時に存在するというのが、どの世界にも共通するこの世の法則=陰陽の法則でもあるのでございます。

(・。・;

 

 

 

…という事で、今回はそんなバレエの世界の裏の部分が垣間見える、そんな珍しい視点からのバレエ動画を二つほどご紹介致します。

☆_(_☆_)_☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前に「ブラック・スワン」という映画がありましたね~。

 

主演のナタリー・ポートマンという美しい女優さんは、「ブーリン家の姉妹」という映画にも主演されておりますが、彼女はこういう"陰のあるダークな役"が物凄く似合う、妖艶な女優のお一人であると思います。

(^^ゞ

 

 

 

引退してからバレエにあまり興味を持てなくなり、舞台も殆ど観に行く事がなくなった私ですが、(※これは多分私の中でのバレエの魅力とは、「踊るものであり、観るものではない」という感覚が大きいからではないかと自分では感じております)

 

この映画は、ただ単なる表面的な"綺麗で華麗なだけのバレエ"ではなく、「何だか人間の深層心理が描かれていそう」という感じがして、当時の私の興味をそそったので観に行きました。

 

でも私の中では「一度観れば充分かな~」と思えた映画でしたでしょうか。

(^^ゞ

 

 

 

ちなみにこの映画を観た私の感想ですが…。

 

特にヨーロッパやロシアのバレエ界で実際に良く見られる「誰かの愛人になる事で出世して行くダンサー」であるとか(※勿論全ての方ではありません)、ライバル同士のスキャンダルとか、

 

ちょっとこの日本では考えられない様な酷い事をする人間(※亡命した人を本国に帰す様な策略をした人など)というのも、実際に私は存じておりますので、

 

「確かにこの映画で描かれているものは、バレエの世界の一部の人達が経験する真実」という面も否めないという事も感じましたけれど

 

「バレエの世界のダークな部分しか表現されていない」というアンバランス感と言うか、「この映画を観た人に、もしこういう世界がバレエ界だというイメージを持たれたら心外だなぁ!」という事を、観終わった後に感じた事を覚えています。

(・_・;)

 

 

 

私は半世紀バレエの世界に身を置いておりましたが、こういうダークな経験に触れたという事は一度も無かったのは、きっと「何かに守られていたから」と感謝を感じています。

☆_(_☆_)_☆

 

そんな私は以前にこんなコラムも書いておりましたっけ♪ (久々に自分で読んで、何か懐かしさを感じました~♫ 興味のある方はご覧下さい♫笑)

(*^^*)~♡

 

 

本物のおしゃれ(バレエ編) 」

何故、バレリーナはつま先立ちをするのか?

バレエをする人の美しさと醜さ

 

 

 

 

 

 

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舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ

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長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年