成澤 利幸(音楽家、打楽器奏者)- Q&A回答「室内楽のアンサンブル」 - 専門家プロファイル

成澤 利幸
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成澤 利幸

ナルサワ トシユキ
( 長野県 / 音楽家、打楽器奏者 )
成澤打楽器音楽教室 
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アンサンブルの全体的なハーモニーについて

趣味・教養 楽器レッスン 2015/09/18 13:30

クラシック音楽の曲には、弦楽四重奏や木管三重奏等があり、当方が安心して聞ける演奏家の中で、アルバンベルク弦楽四重奏団を例に挙げますが、彼らの様にハーモニーがとれている演奏をする為には、どんな方法があるのでしょうか?

例えば弦楽四重奏であれば、スコアを見ながら和声を判断し、曲の何小節目にある何分音符の音を、第1バイオリンの音程は低め、ビオラは高めにするとかを演奏者が決めたり、又は、客観的に練習を聴いてくれる人がいて、気になるところを指示してくれるとか、でしょうか?

プロのアンサンブルコンサートへ行っても、一人ひとりの音をよく聴くと、音程は合っていると思いますが、全体的にハーモニーになっていない演奏だと、とても残念な気持ちになります。

弦・管楽器は音程を創るものですし、室内楽だと独奏にはない厳しい面があると思います。

当方趣味でクラシック音楽を聴いている程度でして、稚拙な文章で申し訳ありませんが、回答お願いいたします。

もーくんさん ( 香川県 / 女性 / 38歳 )

室内楽のアンサンブル

2015/09/21 11:34

もーくんさん、こんにちは。打楽器奏者の成澤利幸と申します。
以前、プロの金管5重奏のリハーサルを見学させて頂いた時のエピソードを紹介します。

2週間後のファミリーコンサートのためのリハーサルで、親しみやすい曲の初見練習でした。
編曲をお願いした曲の楽譜はこの日に届いたそうです。
ざっと一回通してから、
 リーダー「終りのほうのここの辺りがよくなかったよね。」
 (私の頭の中の声)「そうかなあ…。よかったと思ったんだけど。」
  ~もう一回、演奏~
 リーダー「これだね。これでいきましょう。」
 (私)「!!!」
ハーモニーの厚さが増し、旋律と伴奏がすっきりと整えられ、素晴しい演奏に変化しました。

演奏された方のお一人に後でお伺いしたところ、このようなことをしていたと教えていただきました。
・ある人は、全体の響きを増したいので和音の中で音を変更した
・ある人は、バランスをとるために抑え気味に演奏した
・ある人は、和音が整うために決め所では自分の音のピッチを低めにとった

一回通した時に音を間違えずに演奏するのは当然ですがそれだけでなく、
自分の音を聴き、全体の音を聴き、和音やバランスなど曲の構成を捉え、
今演奏している音楽がどのような音を出して演奏しているかを把握していたのです。
リーダーがやったことは「もう一回、やってみるか。」という一言だけでした。
このできごとは一流のプロのアンサンブルのレベルがいかに高いかということを思い知った
衝撃的なできごとで、今も忘れる事はありません。

もーくんさんがおっしゃられた「音を高めにとったり」などは言葉で打ち合わせするよりも
演奏しながらよく聴いて、各奏者が自分で調整しているということです。
プロであれば楽器の基礎もしっかりもってらっしゃいますし、ソリストとしてのキャリアも豊富です。
もちろんスコアを読んだりCDなどを使って予習・復習もされていますが、
演奏しながら和音を聴き取り細部を調整することがメインです。

客観的に聴いてもらう時は、初めて演奏するホールの時にバランスはどうかとか、
客席に一番いい響きに聴こえるにはどのようなセッティングがいいか、という時のことが多いです。

また、メンバーの関係も大きく関わります。抽象的に言うと
「合わせやすい」
ということです。
具体的には、
・テンポ感やタイミングが一緒
・音色が似ているのでアンサンブルとしての音色が整う
・楽器演奏の高い技術
・アンサンブルのコンセプトや音楽観が近い
などでしょうか。
世界クラスの超一流のアンサンブルの中には
国籍や住んでいる場所が違うのにアンサンブルを組んでいることがあります。
合わせやすさをとことん追求していくとメンバーを集めることは地球規模になっていくのでしょうね(おおげさすぎ?)。

もーくんさんのようにお気に入りの演奏者がいることは音楽をより深く知ることができて
とても幸せなことです。
これからも音楽によって潤う生活をお過ごし下さい。

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