糖尿病は食べて治す!「糖質制限食」の有効性と工夫とは?(5)
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(続き)・・さて厳格な糖質制限食に於いては、野菜といえども糖質の含有量が多い野菜は制限、または禁止の対象となっています。例えばカボチャやトウモロコシ、ニンジンなどの野菜は糖質が思いのほか多く、ジャガイモやサツマイモなどのイモ類も糖質が豊富です。たいへん厳格な「糖質ゼロ食」などでは、これら糖質の豊富な野菜やイモ類は事実上、禁止の扱いとなっています。
また果物に関しても「果糖」という糖質が豊富なために、食事法によっては制限または禁止の対象となっています。果糖は砂糖などに含まれるブドウ糖とは異なり、細胞に取り込まれるのにインスリンを必要としません。従ってインスリンの疲弊から血糖値が上がる心配はないのですが、肥満につながるという理由で制限または禁止の扱いとなっているのです。しかしながら、この処置は本当に正しいのでしょうか。
糖質の豊富な野菜や果物を食べてよいかどうかを考える時には、含まれている糖質の量を重視するのはもちろんですが、それ以外にもビタミン類、ミネラル類、食物繊維、そして各種ファイトケミカル(植物性生理活性物質)の量をも考慮に入れる必要があります。甘みの強い野菜や果物は、確かに糖質が多いかも知れませんが、それと同時にこれらの各種有効成分が豊富であり、体にとっては有益な食材だからです。
例えばカボチャは糖質としてのデンプンが多いのですが、それだけでなくベータカロチンや食物繊維が豊富で、免疫力を向上させて便通を良くする効果があります。またリンゴには果糖という糖質が多い一方で、ビタミンCやポリフェノールが豊富で、動脈硬化の抑制や血圧の低下などの効果があります。このような健康上の有益性と、含有する糖質の量とを比較検討し、どのくらい食べるのが良いか個別に考えるべきです。
糖尿病またはその予備軍の方々、著しい肥満の方の場合は、糖質の多い野菜や果物の摂取には注意した方が良さそうです。糖質の少ない葉物の野菜をたっぷりと摂り、糖質の多い野菜や果物を少なめに食べる、という工夫です。糖質が多いという理由で野菜や果物を控えるというのは健康への影響を考えると本末転倒であって、野菜や果物を全体としてたっぷり食べることは、誰であっても必要なことです。
これに対して糖尿病や肥満のない方の場合は、糖質の多い野菜や果物、イモ類も含めて、大いに食べるべきです。前述のように、これら植物性食材には糖尿病や肥満を防ぎ、動脈硬化やガンなどの病気を予防する成分が豊富だからです。また果物は優良な「間食」にもなります。甘いものを好む人であっても、砂糖がたっぷりのお菓子を食べる代わりに果物を食べれば、味覚と健康の双方を満たし、まさに一石二鳥です・・(続く)