糖尿病は食べて治す!「糖質制限食」の有効性と工夫とは?(4)
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(続き)・・そのような、良いことづくめに聞こえる糖質制限食ですが、実際の取り組みにあたっては、何か注意すべきことはないのでしょうか。第一に米やパン、お菓子など糖質に依存した食生活を送ってきた人が急に厳格な糖質制限を始めると、糖新生の仕組みがよく働いていないため低血糖に見舞われることがあります。このような方はご飯やパンの量を減らすことから始めて、徐々に糖質への依存度を下げていく必要があります。
次に、糖質の代わりに脂質を主要なカロリー源とするのが糖質制限の基本的な考え方ですが、脂質はその種類と品質がきわめて重要です。ご飯を減らしておかずを増やすのは良いことですが、不健康なものが多くなったのでは意味がありません。例えばトンカツや天ぷらなどの揚げ物には小麦粉やパン粉などの衣を付けますが、これらは言うまでもなく糖質です。しかも衣は揚げ油をたっぷりと吸いこんでいます。
この揚げ油には細心の注意が必要です。植物油は加熱することによって酸化し、次第に有害な過酸化脂質に変化してしまいます。これはアレルギーなどの原因となり、さらには発がん性も認められています。しかも大半の植物油はリノール酸主体で、その過剰摂取はアラキドン酸の増加を通じて炎症の亢進、動脈硬化の促進などを招きます。従って植物油を多量に使った料理は控えた方が無難といえます。
もっと悪質なのが「トランス脂肪酸」です。これは植物油を安定化させるために水素を付加した加工油脂で、マーガリンやファストフードなどで多用されるショートニングなどに含まれています。ショートニングは「カリッ」と揚げるのに重宝する油脂ですが、動脈硬化やアレルギーを促進し、発がん性も認められます。副食を増やすのは結構ですが、このような質の悪い油を用いたのでは、まさに本末転倒です。
糖質制限食に於いては、肉や魚などの動物性食品の摂取には特に制限を設けていません。良質なタンパク源、脂質の宝庫であり、糖質が極めて少ないからです。実際に典型的な糖質制限食の食卓には、豊富な肉や魚が並びます。これを聞いて肉が大好きな人は「いくらでも肉を食べられる!」と喜ぶものです。それでは本当に、肉はいくら食べても良いのでしょうか。
確かに肉は世間で言われているほど不健康な食材ではないのですが、他の食材との組み合わせがとても重要です。例えば肉ばかり食べていたのではビタミンCや食物繊維、ファイトケミカルの不足となり、かえって不健康な食事となります。また肉ばかりではなく、EPA(エイコサペンタエン酸)など良質な油脂の豊富な魚類をもバランスよく食べることが重要なのです・・(続く)