吉野 真人(医師)- コラム「骨の髄まで健康になり「寝たきり」から身を守る秘策とは?(3)」 - 専門家プロファイル

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( 東京都 / 医師 )
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骨の髄まで健康になり「寝たきり」から身を守る秘策とは?(3)

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2012-02-27 09:00

(続き)・・骨粗鬆症は様々なタイプの骨折の背景となりますが、その中で最も寝たきりに至りやすい重症の骨折は「大腿骨頚部骨折」です。これは太ももの付け根部分の骨折で、95%は転倒が原因とされています。骨折した直後から脚の付け根の痛みと腫れが現れ、歩くことができなくなります。しかも大腿骨の頚部は不安定な場所のため治癒が遅く、最も寝たきりを招きやすい骨折として恐れられています。

 

骨粗鬆症は「椎骨圧迫骨折」の原因ともなります。高齢になると身長が縮んだり、ひどい猫背になったりする傾向がありますが、椎骨(背骨)のレントゲン写真をみると、スカスカになった椎骨がまるで押し潰された空き缶のような状態になっていることがよくあります。人によっては背中や腰の痛みを訴えて発見されるケースもありますが、多くは目立った症状がなく、いつの間にか発症している場合が大多数です。

 

骨粗鬆症はそれに留まらず「容貌」にも影響してきます。骨の役割の一つに、形を維持するということがありますが、顔の形や容貌を決定付けているのは顔の骨を構成する上顎骨や下顎骨、前頭骨、鼻骨などの形と機能です。これら顔を形成する骨の密度が低下すると、目元や口元などの肌の張りがなくなり、シワが増えてきます。老人特有のシワの多い容貌は、一つには骨の老化に起因しているのです。

 

そのように寝たきりに直結する骨折を招くなどして健康長寿を阻み、美容にさえ悪影響をもたらす骨粗鬆症ですが、少しでもその進行を遅らせ、健康な老後の生活を確保するための方法はないものでしょうか。それを考えるに当たっては、骨の構造と機能、役割について確認しておく必要があります。骨についての正しい知識をもち、正しい対処法を取ることによって、それは充分に可能です。

 

人間の臓器の多くは70~80%が水分で、残りの20~30%はタンパク質や脂質などの有機物で構成されています。これに対して骨の水分はわずか10%で、70%が無機物のリン酸カルシウム、残り20%がコラーゲンなどの有機物で構成されています。建物に譬えるとコラーゲンはしなやかな鉄筋で、その周りに硬質のリン酸カルシウムがセメントのように、しっかりと埋め込まれています。

 

びっしりと内部にカルシウムを詰め込んだ骨はその「硬さ」をいかんなく発揮して、様々な役割を果たしています。まず前述の顔の容貌のように、人体の「形」を維持する機能が挙げられます。骨が衰えると、人体の外見上の形を維持する機能が低下するため、皮膚がたるみシワが増えて、印象の上でも老けこんでしまいます。逆にいうと、骨の形を維持することが美容の上でもたいへん重要なのです・・(続く)

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