吉野 真人(医師)- コラム「抗がん剤漬けの日々を振り返り・・(1)」 - 専門家プロファイル

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ヨシノ マサト
( 東京都 / 医師 )
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抗がん剤漬けの日々を振り返り・・(1)

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2009-05-11 07:00
私は岩手県一関市の出身で、山形大学医学部を昭和63年に卒業しました。その後同じ山形大学の第3内科の医局に入局(就職)し、以降20年近くの間、同医局を中心に医療活動をしてきました。一般の方々には馴染みがないかも知れませんが、多くの医師は大学卒業後も大学の医局の人脈に組み込まれ、転勤も医局の意向を尊重した形で行なわれます。この詳しい事情についてはまた日を改めて解説しますが、私もその流れのなかに身を置いていた訳です。

第3内科に入局後1〜3年おきに転勤をし、山形県内の計8ヶ所の病院に勤務しました。大学病院以外に勤めたのは、国立病院、県立病院、市立病院、それに民間の病院と母体はいろいろです。始めのうちは「研修医」でしたが、3年目から普通の「内科医」になり、10年目くらいからは、大学では「助手」、一般病院では「医長」という役職につきました。この昇進は、一般に年功序列で決まります。

医師には大概、「専門分野」があります。つまり内科医の場合には胃だったり肝臓だったり、肺だったりします。私の場合は「血液」でした。具体的には、貧血、白血病、リンパ腫、出血性疾患などの疾患を対象としています。所属していた第3内科が扱う分野は血液・代謝(糖尿病など)・神経などでしたが、就職後5年目くらいに、当時の主任教授に強く勧められたこともあり、「血液内科」に進みました。


血液疾患の診療は、今から振り返ると‘壮絶‘そのものでした。入院患者の大半は「白血病」で、抗がん剤を主体とする治療を行ないます。悪性リンパ腫の患者も多く、抗がん剤と並んで放射線治療も行ないます。固形がん(胃がんや肺がんなど)とは違って手術は一般に行いません。白血病は「血液のがん」とも称され、手術では取りようがないのです。

抗がん剤は副作用が極めて強く、そのために命を落とす患者も多数おります。強い吐き気に始まり、食欲不振、脱毛、粘膜障害とどれも大変なものです。脱毛に関していうと、女性も含めて大半の方がほぼ全面的に抜け落ちてしまいます。そのために男性の中には、予め「丸坊主」にしてしまう人もおります。ひどい口内炎のために、食事もウガイも会話さえも困難になることもあります・・(続く)
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