吉野 真人(医師)- コラム「花粉症蔓延の裏には「清潔すぎる環境」が!清潔さを楽しみつつ花粉症を制御するには?」 - 専門家プロファイル

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( 東京都 / 医師 )
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花粉症蔓延の裏には「清潔すぎる環境」が!清潔さを楽しみつつ花粉症を制御するには?

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2013-03-15 13:00

(続き)・・ここ数日、気温の変化が激しくなっていますね。皆さん体調管理はできているでしょうか。春らしく暖かくなるのは嬉しいのですが、急な気温の上昇は逆に体調を崩す原因ともなります。

3月は1年で最も気温差が大きい月だそうです。「三寒四温」などとよく表現されますが、温かい日と寒い日が数日周期で繰り返しながら本格的な春に向かいます。

気温が急上昇すると春らしい感じはするのですが、こういう日は乾燥した南寄りの風が吹き、花粉が一気に飛散します。その結果、花粉症の方にとってはまさに「地獄の一日」となるのです。

 

さて花粉症やアレルギー性鼻炎の発症率には、国や地域によって差がありますが、一番はっきりしているのは先進国と新興国との差です。同じ先進国の間でも多少のバラつきがありますが、平均していうと新興国の数倍にのぼります。

医療が発達し衛生面でも優れている先進国で花粉症などアレルギー疾患が多いのは、どのような理由によるのでしょうか。実はその「衛生的」であることが、逆にアレルギー疾患を蔓延させている要因の一つとなっているのです。

 

アレルギーを促進する要因としては花粉やダニなどの異物はもちろんですが、それ以外に各種化学物質や低体温、栄養バランスの乱れ、ストレスなど様々なものが指摘されています。その中でも最近特に注目されているものとして、「過度に衛生的な環境」があります。

昔はどの地域でも、子供は仲間と砂だらけ、泥だらけになって遊んだものですが、現代の先進国では子供が外遊びをする時間も場所も殆んどありません。その代わり塾通いや習い事に追われ、テレビゲームやインターネットなどに興じており、極めて清潔な環境の中で暮らしています。

その結果、先進国の子供は細菌などによる感染症の発症率も死亡率も低いのですが、その代わりにアレルギー疾患が増加しているというのです。それは何故なのでしょうか。

 

我々は細菌やウイルスから身を守るべき「免疫システム」を備えていますが、過度に清潔な環境に身を置いていると、細菌やウイルスによる暴露が極端に少ない状態が続きます。そうすると免疫システムに狂いが生じ、花粉やホコリ、ダニなど日常的に体内に入りやすい異物に対して過剰な反応が生じやすくなります。これがアレルギー反応の本質の一つなのです。

一つの典型的な例が「寄生虫」です。ほんの40年くらい前まで、我々日本人にとっても寄生虫はごく身近な存在でした。小学校では虫卵検査が定期的に行われ、寄生虫が見つかると「虫下し」を飲まされたものです。

ところが最近の小学生に聞いても、寄生虫など見たことがないと口を揃えて話します。実際に寄生虫が検出される子供は殆んどいなくなっています。しかしながら、この寄生虫が減ったことがアレルギーを引き起こしやすくなった要因の一つである、という研究があります。疫学的にも寄生虫の保有率の低い地域では、アレルギー疾患が多いという統計もあります。

 

このような傾向を受けて、我々はもっと不潔な環境に身を置くべきだとか、寄生虫を保有すべきだとか冗談交じりに語る論者もいますが、清潔な環境に慣れてしまった我々先進国の現代人にとって、それは現実的な方法ではありません。

それでは清潔な環境を享受しながらアレルギーを制御する方法はないのでしょうか。それにはいくつかの方法がありますが、その一つは「腸内細菌」の活用です・・(続く)

 

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